CPIが期待を下回り、米ドル売り加速

2022/01/13 7:39 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(1月13日6時09分)

米ドル円(USDJPY) 114.52-114.52 (円)
ユーロ円(EURJPY) 131.11-131.11 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1448-1.1448 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 157.00-157.01 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3709-1.3710 (米ドル)

1月12日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、12月米消費者物価指数(CPI、前月比、結果:0.5%、予想:0.4%、前回:0.8%)が予想を上回った。前年比(結果:7.0%、予想:7.0%、前回:6.8%)では1982年6月以来、40年ぶりの大きさとなり、3月の利上げ開始の可能性がさらに強まる高いインフレの状況を浮き彫りにした。

変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアCPI(前月比、結果:0.6%、予想:0.5%、前回:0.5%)は前月を上回り、前年比(結果:5.5%、予想:5.4%、前回:4.9%)は予想以上に拡大し1991年2月以降、31年ぶりの大きさとなった。ほぼ予想通りの結果となったが、それ以上の数値が出ると予想していた反動から長期国債が1.745%へ上昇後、1.7128%へ低下した。

さらに、連邦準備制度理事会(FRB)の地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表され、昨年末に経済は緩やかなペースで成長したが、今後数カ月に対する企業の成長期待は一部で低下している。

また、米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年投票権を持つセントルイス地区連銀のブラード総裁はウォールストリート・ジャーナルのインタビューに対し「2022年は4回の利上げが実施されるべきと今は考えている」と述べ、先週発言した「昨年12月時点で今年3回の利上げを想定」という自身の発言を修正した。同様に投票権を持つクリーブランド地区連銀のメスター総裁も同紙に、米経済が好調な今、FRB当局者は金融市場を混乱させることなく可能な限り早期に保有債券を減少させるべきと述べている。

米ドル・円(USDJPY)は、115円半ばから114円半ばに値を下げた。CPI発表後に予想以上に期待値が上回っていた反動から米ドル売りが強まり、徐々に値を下げこの日の安値114.38円まで売られた。その後、小幅に値を上げ114.64円で終えた。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.13ドル半ばから1.14ドル半ばまで上昇した。米ドル売りが優勢となると徐々に値を上げ、11月15日以来、2ヵ月ぶりの高値1.1415ドルを更新し、終値は1.1442ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は131円前半で取引された。朝方に、この日の高値131.48円を付けていたが、ユーロ・米ドルの上昇につられ値を下げたが、米ドル・円の影響も受け値幅は狭く終値は131.16円となった。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 36,290.32 +38.30 (+0.10%)
NASDAQ総合  USD 15,188.392   +34.943 (+0.23%)
S&P500     USD 4,726.35 +13.28(+0.28%)

1月12日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、連日で前日の終値を上回った。開始直後は200ドルほど上昇していたが、朝方に発表されたCPIが、ほぼ予想通りとなり長期金利が低下すると前日の終値を下回った。その後、株価収益率の高いマイクロソフトなどのハイテク株(※)を中心に買いが優勢となり、小幅に値を上げた。一方で、金利差が収益を圧迫するとの見方からゴールドマン・サックスなど金融が売られている。3月の金融緩和引き締めが意識され、値が上がりづらい状況でわずかな上げ幅にとどまった。

(※)株価収益率(PER)とは、企業の成長性を分析する指標の一つ。株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表しており、値が大きいほど割安となる。今のような長期金利の指標とされる10年債の金利が上昇している時は、PERの値より金利の方が大きくなり割安感が減るため、ハイテク株を中心としたPERの高い株の魅力が減少し売られやすい。
 

  • 債券

米国債10年 1.725(-1.20%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 82.64 +1.42(+1.75%)(2月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,827.30 +8.80(+0.48%)(2月渡し)

 

【日本】米12月消費者物価指数(CPI)を控え様子見強まる

  • 為替(17時)

1月12日の東京外国為替市場は、前日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の指名公聴会での発言を受け、米長期金利が低下し主要3指数が上昇した影響を受け日経平均が上昇した。その影響を受け米ドル売りが優勢となった。それと同時に、安心感が広がりリスクを取りやすい環境からリスクオフの姿勢も強まりから円も売られやすい状況となっており、値が上がりづらい状況だった。

米ドル・円は、昨日同様の115円前半の取引。米ドル売りと円売りが交錯する中で、この後発表される12月の米消費者物価指数(CPI)を控え、大きな値動きは出なかった。欧州勢が参加後、米長期金利先物が1.75%台に上昇すると、この日の高値115.45円まで値を上げ17時時点では115.40円となった。

ユーロ・米ドルは1.13ドル半ばの取引となり、大きな値動きは出なかった。米長期金利先物が上昇すると米ドル買いが優勢となり、この日の安値1.1355ドルまでユーロが売られ、17時時点では1.1358ドルだった。

ユーロ・円は131円前半の取引となった。米ドル・円と、ユーロ・米ドルの影響を受け小幅な動きが出たものの値動きが出づらい状況となり、17時には131.08円で取引された。
 

  • 日本株式

日経平均株価 28,765.66円 +543.18(+1.92%)
安値28,427.60円  -  高値 28,814.31円
東証出来高 1,197,95万株
東証売買代金 3兆0151.19億円
 
1月12日の日経平均株価は4日ぶりに前日の終値を上回った。米国市場で主要3指数が揃って上昇し、長期金利が低下した流れを受け、東京エレクトロンなどの半導体の株価収益率の高い成長株が中心に買われた。東証1部銘柄のうち88%が値を上げ、電気・ガス、保険業を除く31業種で前日の終値を上回った。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.021%
 

  • 債券

国債先物・22年3月限 151.05 (+0.29)
10年長期金利 0.125%(-0.025)

この記事をシェアする
アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


もっと読む
クッキー(Cookie)について: お客様が本ウェブサイトにアクセスする際、セキュリティの確保やお客様に関する情報を取得することを目的に、クッキー(Cookie)を使用する場合があります。 本ウェブサイトにお客様が継続的に訪問する場合、クッキーについて同意することと見なします。またクッキーはいつでも削除することが可能です。
FAQ お問合せ サポートデスク
月曜日-金曜日
9:00-24:00