米20年債入札の強い需要から米長期金利低下

2022/01/20 7:40 JST投稿
 
 

【米国】

  • 為替(1月20日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    114.27-114.27 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    129.65-129.66 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1346-1.1346 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    155.63-155.63 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3618-1.3619 (米ドル)
 
1月19日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、最近の利回り上昇を好機とみた米20年債入札の強い需要から長期金利が2020年1月以来となる1.90%から1.82%に低下した。
 
また、ウクライナ問題ではロシアのリャプコフ外務次官が、欧州安全保障を巡る米国との協議に関して、最大の要求である北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大停止について一部譲歩する考えを示唆した。米国にとっては受け入れがたい内容ではあるが、ロシアが徐々に歩み寄りの姿勢を見せている。
 
米ドル・円(USDJPY)は、114円前半での取引が中心だった。朝方は114.50円付近で取引されていたが、長期金利の低下から、この日の安値114.21円に値を下げた。その後は、株安を受け積極的な投資が控えられ小幅な動きにとどまり、終値は114.34円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.13ドル半ば中心の取引となった。独長期金利が2019年以降で初めてプラスになりユーロの買戻しが優勢だった。ウクライナ問題の進展や米長期金利の低下も好感され、この日の高値1.1357ドルまで値を上げ1.1342ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は129円後半で取引された。米ドル・円の下落につられ129.60円付近まで値を下げた後、動きが出ず129.60円半ばの横ばいで推移し終値は129.69円だった。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 35,028.65 -339.82 (-0.96%)
 NASDAQ総合  USD 14,340.255   -166.642 (-1.14%)
 S&P500      USD 4,532.76  -44.35(-0.97%) 
 
1月19日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、4日連続で前日の終値を下回った。朝方は好調な決算を発表した日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などの株が買われ、前日の終値を上回っていたが、インフレの高まりから景気敏感株や株価収益率(※)の高い成長株が売られ、3指数揃って値を下げた。
 
(※)株価収益率(PER)とは、企業の成長性を分析する指標の一つ。株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表しており、値が大きいほど割安となる。今のような長期金利の指標とされる10年債の金利が上昇している時は、PERの値より金利の方が大きくなり割安感が減るため、ハイテク株を中心としたPERの高い株の魅力が減少し売られやすい。
 

  • 債券

 米国債10年 1.827(-2.04%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 86.96 +1.53(+1.79%)(2月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,843.20  +30.80(+1.70%)(2月渡し)
 
 

【日本】リスクオフの姿勢が強まり円買いに

  • 為替(17時)

1月19日の東京外国為替市場は、ウクライナ問題の懸念や米長期金利の高まりから株安となった影響を受けたリスク回避(リスクオフ)の姿勢が強まった。
 
米ドル・円は114円半ば中心の取引となった。朝方は国内輸入企業の決済に向けた米ドル買いが入り、この日の高値114.79円まで買われたが、リスク回避の姿勢が高まり徐々に値を下げ、この日の安値114.21円に値を下げた。その後は、米長期金利先物が1.89%付近に上昇すると米ドル買いに変わり、17時時点では114.42円となった。
 
ユーロ・円は129円後半で取引された。朝方は動きが出なかったが、昼過ぎからリスクオフの円買いが強まり、この日の安値129.39円まで下がった。その後、独長期金利が2019年5月以来で0%を超え0.014%台へ上昇すると129.74円に回復し、17時時点では129.65円だった。
 
ユーロ・米ドルは1.13ドル前半での取引となった。昼過ぎまで、ほぼ横ばいで推移し、独長期金利が上昇すると、この日の高値1.1343ドルに値を上げた。17時は1.1331ドルで取引されている。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     27,467.23円  -790.02(-2.80%)
  安値27,314.41円  -  高値 27,958.17円
 東証出来高 1,513,74万株
 東証売買代金 3兆5277.79億円
 
1月19日の日経平均株価は連日で前日の終値を下回り、大幅に値を下げた。米長期金利上昇から米国市場で主要3指数揃って値を下げた影響を受け、幅広い銘柄が売られた。コロナウイルスの感染拡大の影響も大きく、終了直前に前日の終値を900円超下回った。東証1部の銘柄の96%で値下がりし、パルプ・紙以外の32業種で値を下げ、昨年の10月6日(27,528.87円)以来の低い水準で終えた。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.026%
 

  • 債券

 国債先物・22年3月限  150.92 (+0.18)
 10年長期金利  0.135%(-0.010)
 
 

【マーケットアナリティクス】カナダCPI受け、米ドル・カナダドルが、200日DMAを下回る(1月19日 15:20 CET)

米ドル・カナダドルはカナダの12月消費者物価指数(CPI)を受け、1.25カナダドルを下回り下落した。前年同月比で4.8%に上昇し、コアインフレ指数も4.0%に上昇し、カナダ銀行(中央銀行)が来週の会合で利上げに踏み切る可能性が高い。
 
「来週26日のカナダ中銀の利上げ決定を前に、25bp(ベーシスポイント)引き上げのリスクが高まっている。しかし、我々は最終的に米ドル・カナダドルで再びレンジ力学が優勢になるとみられるので、1.2500カナダドルの目標を下げることは考えていない。」 とクレディ・スイスのエコノミストはデータ発表後に述べている。
 
価格は現在、夏の安値からの長期上昇トレンドラインを試しているところだ。1.2470カナダドル付近のこのレベルが下落した場合、その後、数日間にわたり、さらに大きな下落となる可能性がある。
 
1.2430カナダドル付近にも買いの好機があり、1.23カナダドル付近には重要な長期の下値支持線(サポート)があると思われる。
 
原油価格の上昇によりNY原油(WTI)が86ドル以上の数年来の高値を付け、カナダドルは力強さを増している。
 
また、上値抵抗線(レジスタンス)は1.2570カナダドル付近にあり、当面の弱気(ベア)の脅威を払拭するには、この上で上昇する必要がありそうだ。
 
(※)先行移動平均線(DMA):「Displaced Moving Average」の略で、移動平均線を本来の位置から未来や過去にずらして表示するもの。上値の抵抗線(レジスタンス)や下値の支持線(サポート)の推移を想定するのに有効。
 
 
米ドル・カナダドルデイリーチャート 1月19日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “USDCAD drops below 200DMA after Canadian CPI” (2022年1月19日, AXIORY Global Market News)
 
追記:1月20日、日本時間6:00の米ドル・カナダドルは、1.2500-1.2501カナダドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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