2022/06/17 7:37 JST投稿
【米国】
為替(6月17日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 132.16-132.24 (円)
ユーロ円(EURJPY) 139.39-139.54 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0547-1.0552 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 163.19-163.39 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2351-1.2355 (米ドル)
6月16日のニューヨーク外国為替市場に影響を与えた出来事は、前日の連邦公開市場委員会(FOMC)でのインフレ抑制に向けた大幅な利上げを実施。各国でも大幅な利上げが続き、世界的なリセッション(景気後退)懸念が高まりリスク回避のリスクオフの姿勢が強まった。
香港金融管理局(中央銀行に相当)では基準金利を1.25%から2%に引き上げ、イングランド銀行(英中央銀行)が5会合連続の利上げを実施し2009年以来の高水準の1.25%に引き上げた。さらに、欧州時間にスイス国立銀行(中央銀行)が政策金利(3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値)を2007年以来の利上げを実施し、従来の-0.75%から-0.25%に引き上げている。
また、5月米住宅着工件数(年率換算件数、結果:154.9万件、予想:169.6万件、前回:172.4万件)が供給網問題や住宅ローン金利上昇による影響を受け、1年ぶりの低水準になった。前週分 新規失業保険申請件数(結果:22.9万件、予想:21.5万件、前回:22.9万件)では、前回の速報値(22.9万件)から23.2万件に修正され小幅に減少し、人手不足のタイトな状況が続いている。
さらに、6月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果:-3.3、予想:5.5、前回:2.6)が発表され、3カ月連続で低下し2020年5月以来、2年1カ月ぶりのマイナスとなった。これらの動きから長期金利が徐々に低下し、一時3.178%まで低下した場面もあった。
米ドル・円(USDJPY)では、弱い経済指標から徐々に値を下げた上、世界的な景気後退懸念が強まりリスク回避の円買いが強まった。この動きから、この日の安値131.50円まで値を下げた。その後、小幅に値を戻し終値は132.21円となった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、スイスフランやポンドで米ドルが売られた動きを受け、ユーロ買いが強まり前日の高値1.0508ドルを上回り1.0601ドルまで上昇した。その後は小幅に値を下げ、終値は1.0549ドルとなった。スイスフランは対ドルで0.9800から0.9632スイスフランに値を下げ、ポンド・米ドルでは1.2134から1.2406ドルまで上昇している。
ユーロ・円(EURJPY)は、欧州時間に5月31日以来の安値137.85円までユーロが売られていたが、ユーロ・米ドルの上昇につられ値を上げた。一時、この日の高値140.60円を付けた後は、小幅に値を下げ139.47円で終えた。
株式
NYダウ平均 USD 29,927.07 -741.46 (-2.41%)
NASDAQ総合 USD 10,646.099 -453.056 (-4.08%)
S&P500 USD 3,666.77 -123.22(-3.25%)
6月16日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を再び下回った。前日の米国に続き、香港、英国、スイスが利上げを行ない、世界的なリセッション(景気後退)懸念が高まり投資家心理が冷え込み、幅広い銘柄が売られた。15時前に前日の終値から900ドル超値を下げ、3指数揃って値を下げている。
なお、JPモルガン・チェースのストラテジストがS&P500種株価指数が示唆する米国のリセッション(景気後退)確率は85%と指摘した。背景には、パウエルFRB議長がリセッションを招く可能性を認め、米金融政策の誤りに対する懸念がある。また、英国、スイスの利上げの下、欧州株が示唆するリセッション確率は80%と予想している。
債券
米国債10年 3.195%(-0.20)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 117.58 +2.27(+1.97%)(7月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,849.9 +30.30(+1.67%)(8月渡し)
【日本】スイス中銀が予想外の利上げへ
為替(17時)
6月16日の東京外国為替市場では、スイス国立銀行(中央銀行)の予想外の利上げを受け、日本銀行の金融政策決定会合でも予想外の金融政策が打ち出されるとの期待が強まった。
スイス国立銀行(中央銀行)は政策金利(3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値)を従来の-0.75%から-0.25%に引き上げた。スイス中銀は声明で「インフレを安定させるため、当面は政策金利の更なる引き上げが必要となる可能性を否定しない」と言及し、今後の利上げの可能性を示唆した。これを受け、スイスフラン(CHF)の買いが高まり、対ユーロで4月19日以来の安値1.0169 スイスフラン、対米ドルで0.9785スイスフランまで値を下げ、対円では137.22円に上昇した。
米ドル・円は、スイス中銀が予想外の利上げに踏み切り、世界各国で利上げが続いている影響から上値が重かった。翌日の日銀金融政策の発表を控え様子見の姿勢も強く、徐々に値を下げ17時時点では134.23円となった。
ユーロ・米ドルでは、大きな値動きは出なかった。欧州勢参加後、米長期金利の上昇やスイスフラン買いが強まった影響からユーロが売られ、小幅に値を上げ、この日の安値1.0381ドルを付けた。17時時点では1.0396ドルだった。
ユーロ・円は、翌日の日銀金融政策転換への思惑から円買いが強まり、前日の安値139.54円を超え、139.44円まで値を下げた。17時時点では139.55円で取引されている。
債券
国債先物・22年9月限 147.21 (+1.63)
10年長期金利 0.250%(変化なし)
【マーケットアナリティクス】SNBの予想外の利上げでEURCHFは200ピップス急落(6月16日)
スイス国立銀行(Swiss National Bank =SNB)による、予想外な利上げを受け、ユーロ・スイスフラン(EURCHF)は200ピップス以上、1.7%下落した。本稿執筆時では6週間ぶりの安値1.02付近で取引されている。
■SNBが利上げ
6月の金融政策決定会合の終了後、SNBは政策金利を50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%、0.50)引き上げ-0.25%とし、市場に衝撃を与えた。さらに、SNBは、インフレ圧力の高まりに対抗するため、次の会合でさらに利上げを行う可能性を残した。
ロイター通信によると、この決定後、SNBのトーマス・ジョルダン総裁は、「スイスフランは最近の下落により、もはや高く評価されていない」と述べた。
さらに「インフレがウクライナやパンデミックの影響を受けていない商品やサービスにも広がっている兆候がある。今日の政策金利の引き上げがなければ、予想インフレ率はもっと高くなる」と述べている。
■再びパリティが登場?
1.0180付近の下値支持線(サポート)は、売り圧力に耐えられず、4月安値の1.0080に向けてさらに下降する可能性がありそうだ。しかし、市場関係者は、3月に保持することができたパリティ(等価)を再度試すことを望むかもしれない。
また、投資家心理が改善された場合、1.0250より上で安定し、当面の弱気(ベア)圧力を打ち消さなくてはならない。株式や債券などの世界市場の下落を考慮すると、スイスフランは引き続き上昇する可能性がある。
ユーロ・スイスフラン、デイリーチャート 6月16日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “EURCHF Plunges 200 Pips as SNB Unexpectedly Hikes Rates” (2022年6月16日, AXIORY Global Market News)
追記:6月17日、日本時間6:08のユーロ・スイスフランは1.01934-1.02087スイスフランで取引されている