米ドル・円 24年ぶりの高値を更新

2022/06/30 7:24 JST投稿
 

【米国】

為替(6月30日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    136.58-136.60 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    142.59-142.63 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0438-1.0444 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    165.54-165.59 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2119-1.2122 (米ドル)

6月29日のニューヨーク外国為替市場では、高官による積極的な利上げに向けたタカ派的な発言から、米ドル・円で1998年9月以来、約23年9ヵ月ぶりの高値137.01円まで上昇した。

高官の発言としては、まず、クリーブランド連銀メスター総裁が、「米金利は来年4%を上回ることを望む」「米経済のリセッション入りは予想していない」「次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを支持する」と述べた。さらにパウエルFRB議長が、「米経済は実際にはかなり強い」「米経済は金融引き締めに十分対応できる状況にある」と発言したことが、市場に好影響を与えた。

なお、米1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP、確定値、前期比年率、結果:-1.6%、予想:-1.5%、前回:-1.5%)が、過去最大となった貿易赤字の影響が大きく5月に発表された改定値から下方修正されている。

米ドル・円(USDJPY)では、クリーブランド連銀メスター総裁の発言から7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが意識され、日米金融政策の違いが改めて意識されると約23年9ヵ月ぶりの高値137.01円を付けた。パウエル議長の発言も大きかった上、6月22日の高値136.72円を超えたことが大きかった。その後は長期金利が3.187% から3.087%に低下した影響から136.35円まで値を下げた。その後は、小幅に値を上げ終値は136.59円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、G7や北大西洋条約機構(NATO)の開催に反発したロシアによるウクライナへの攻撃激化を受けたリスク回避のユーロ売りが優勢だった。今後の利上げが意識され米ドルが買われた影響も大きく、6月16日以来の安値1.0435ドルに値を下げた。また、ラガルドECB総裁はECB年次フォーラムで「低インフレの環境に戻る可能性は低い」「7月にどうなる可能性があるかすでに明確に示している」とのタカ派的な発言から景気後退への懸念が強まったことも影響が大きかった。その後は小幅に値を戻し終値は1.0442ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は朝方に米ドル・円の上昇につられ、この日の高値143.85円を付けた。しかし、地政学リスクや欧州での景気後退懸念の強まりからユーロ売りに転じ、この日の安値142.49円まで値を下げた。その後は小幅に値を戻し、142.63円で終えている。

株式
 NYダウ平均  USD 31,029.31 +82.32 (+0.26%)
 NASDAQ総合  USD 11,177.893  -3.647 (-0.03%)
 S&P500      USD  3,818.83  -2.72(-0.07%) 

6月29日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を3日ぶりに値を上げた。四半期末に向けた機関投資家の買いが入った影響から朝方に200ドル超値を上げる場面もあった。また、パウエルFRB議長が更なる利上げについて示唆した影響から売りに転じ、価格変動が激しいながらも前日の終値を下回る場面が少ない一日となった。さらに、長期金利が3.087%まで低下すると、ハイテク株が買われている。

債券
 米国債10年 3.087%(-0.12)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 109.78 -1.98(-1.77%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,817.5  -3.70(-0.20%)(8月渡し)
 

【日本】連日で大きな動き無く小幅な動きに

為替(17時)
6月29日の東京外国為替市場では、前日に続き大きな動きは出なかった。一方で、世界的な景気後退への懸念からリスク回避の動きも出ている。

米ドル・円は、136円前半中心の値動きだった。米長期金利の低下から上昇しづらいものの、堅調に推移した。14時前にこの日の高値136.27円に上昇したが、小幅に値を下げ17時時点で136.02円となった。

ユーロ・円は、昼過ぎまで小幅に値を上げていたが、欧州での景気後退リスクが意識されリスク回避の円買いが強まり、この日の安値142.50円まで値を下げた。その後は買戻しが入り17時時点では143.04円で取引されている。

ユーロ・米ドルは、朝方はほぼ横ばいで推移したが、景気後退リスクが感じられ、この日の安値1.0486ドルまで値を下げた。その後は、小幅に値を戻し17時時点では1.0515ドルだった。

債券
 国債先物・22年9月限  148.63 (+0.13)
 10年長期金利  0.225%(-0.005) 
 

【マーケットアナリティクス】豪ドル・米ドルは、重要なトレンドラインを試す(6月29日)

昨日、豪ドルは投資家心理が悪化し下落し、米国の取引を前に0.25%減少し取引された。

■注目される米国データ
今後、投資家は米国のGDPデータに注目するだろう。GDPは第1四半期に-1.5%にとどまると予想され、GDP価格指数は8.1%にとどまり、米国の大規模な景気後退の中のインフレ(スタグフレーション)の状況を示唆するものと思われる。

この後、パウエルFOMC議長、ラガルドECB総裁、ベイリーBOE総裁がECBの年次中央銀行フォーラムで講演する予定となっている。

前日に発表された米国のコンファレンスボードの消費者信頼感指数は5月の103.2から98.7に低下し、6月の消費者心理が引き続き悪化していることが示された。また、5月の修正値7.5%から、1年間の消費者インフレ率の推定値が8%に上昇したことも明らかとなった。

■主要な強気なサポート
豪ドルは、前回の安値からの強気(ブル)のトレンドラインである0.6870ドル付近まで下落した。しかし、このレベルを割り込んだ場合、弱気(ベア)トレンドが確認される可能性がある。そのため、0.6840ドル付近の現サイクル安値に向けた下落につながる可能性が最も高いと考えられる。

しかし、世界的にはリスクオフ通貨が有利となっており、この場合は米ドルが有利な状態だ。そのため、豪ドル・米ドルは今後数週間、さらに下降する可能性がある。

上昇局面では、0.6925ドル付近の下降トレンドラインが短期的な上値抵抗線(レジスタンス)となる可能性があり、維持されない場合は0.70ドルに向けて再び上昇するだろう。
AUDUSD Tests Key Trendline
豪ドル・米ドル、デイリーチャート 6月29日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “AUDUSD Tests Key Trendline” (2022年6月29日, AXIORY Global Market News)                     
追記:6月30日、日本時間6:00の豪ドル・米ドルは0.6876-0.6880ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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