FOMC議事録受け長期金利低下し、米ドル売りに

2022/08/18 7:40 JST投稿

【米国】

為替(8月18日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    135.01-135.08 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    137.44-137.59 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0178-1.0184 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    162.64-162.78 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2045-1.2051 (米ドル)

8月17日のニューヨーク外国為替市場では、朝方に発表された7月小売売上高と7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録内容に注目が集まった。

7月小売売上高(前月比、結果:0.0%、予想:0.1%、前回:1.0%)は、前月と同様の結果となった。自動車販売の減少とガソリン価格の大幅な下落による影響が大きかったものの、その他の消費が堅調となった。変動の大きいガソリンと自動車を除いた小売売上高(前月比、結果:0.4%、予想:-0.1%、前回:1.0%)では、予想を上回り堅調な消費状況が示された。

また、7月26、27日に開催した会合のFOMC議事録では、利上げペースの減速で一致したが、これまでの政策引き締めのインフレ抑制効果を精査したいとの認識が示された。「どこかの時点で政策金利の引上げペースを減速させることが必要となる可能性がある」との記述があった。これを受け長期金利が2.917%から2.873%に低下した。

2年債と10年債(長期金利)の利回りは、32日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.285%、10年債が2.902%となった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方の米小売売上高の良好な結果から、長期金利が7月21日以来の2.911%に上昇し、この日の高値135.50円まで値を上げた。一目均衡表雲の上限や8月8日の高値135.59円が意識されると米ドル売りに転じた。さらに、FOMCの議事録で利上げペースの緩和に関する記述が確認されると長期金利が低下し134.80円まで値を下げた。その後は小幅に値を戻し、終値は135.07円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、朝方の良好な米小売売上高の結果を受け、この日の安値1.0146ドルを付けた。その後は1.0191ドルまで値を戻すも欧州の景気後退懸念から再び値を下げた。しかし、FOMC議事録公開後に米ドルが売られると、この日の高値1.0203ドルまで持ち直し、終値は1.0180ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方は米小売売上高の良好な結果を受け、この日の高値137.88円を付けた。その後は、米ドル・円の停滞を受け137.41円まで値を下げ、終値は137.50円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 33,980.32 -171.69(-0.50%)
 NASDAQ総合  USD 12,938.123    -164.426 (-1.25%)
 S&P500      USD  4,274.04  -31.16(-0.72%) 

8月17日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を6日ぶりに下回った。前日までの5日間で1300ドル超上昇していた反動から利益を確定させる売りに転じた。また、長期金利が2.919%に上昇し、前日に続きハイテク株が売られた影響も大きかった。午後にFOMCの議事録が公表されると、慎重な姿勢が含まれていたことからか買い戻される場面もあったが、再び売りに転じ3指数で値を下げ終えた。

債券
 米国債10年 2.902%(+0.078)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 88.11 +1.58(+1.83%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,776.7  -13.00(-0.73%)(12月渡し)
 

【日本】時間外の米長期金利上昇受け底堅く推移

為替(17時)
8月17日の東京外国為替市場は、お盆の休暇が終わった上、時間外の米長期金利が上昇を受け、投資家心理が上向き底堅い取引となった。

また、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利のオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を0.50%引き上げ3.0%にした。インフレ抑制に向け、利上げは7会合連続となっている。ニュージーランドドルは対米ドルで0.2%上昇し、0.6356米ドルになっている。 

米ドル・円は、時間外の米長期金利の上昇から米ドル買いが優勢だった。朝方に134.40円まで上昇後に、この日の安値133.91円を付けた。その後は小幅な動きに留まっていたが、欧州勢参加後に再び米長期金利が上昇すると前日の高値134.68円を超え、134.89円まで値を上げ17時時点では134.79円となった。

ユーロ・米ドルは、日中は大きな動きが出なかったが、欧州勢参加後にリスク回避の米ドル買いが強まり、この日の安値1.0150ドルまで値を下げた。その後は持ち直し17時時点では1.0166ドルで取引されている。

ユーロ・円は、米ドル・円の上昇につられ堅調に値を上げ、この日の高値137.12円を付けた。17時時点では137.04円だった。

債券
 国債先物・22年9月限  150.48 (-0.13)
 10年長期金利  0.180%(+0.015)
 

【マーケットアナリティクス】米ドル円、弱気の修正に終止符を打つ(8月17日)

米ドル・円(USDJPY)の円安と米ドル高は上昇する組み合わせの一つで、現在も注目が高まっている。

実際、昨日と今日、USDJPYは主要な長期的な買いシグナルが発生している。この楽観的な見方は、価格が131.5円(黄色)の重要な水平方向の下値支持線(サポート)に跳ね返されたことによるものだ。

このエリアは4月と5月に高値を示し、6月と7月のサポートとしても機能している。このレベルより上で推移することは、ポジティブな投資家心理を維持する上で重要な鍵であり、買い手はこの水準を試している。

もう一つの注目点は、中期下降トレンドライン(赤)のブレイクアウトだ。これは、7月中旬から始まった弱気(ベア)調整の終わりを意味する。そのため、今回の上昇も大きな驚きではない。

先ほどアメリカの小売売上高が発表された。また、国内総生産(GDP)の算出に用いられるコントロールグループと呼ばれる自動車・建材・給油・食品を除いたコア小売売上高は予想より良かったが、小売売上高が予想を若干下回っている。しかもどちらも、先月のデータがマイナスに修正されている。発表直後は若干の米ドル高となったが、価格変動(ボラティリティ)を大幅に上昇させることにはならなかった。30分前のUSDJPYはデータ発表前より米ドルが売られている。

まとめ:USDJPYの投資家心理はポジティブであり、価格が131.5円を上回っている限りこの状態を維持することができるだろう。数時間後、前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が発表される予定だ。これはUSDJPYに影響を与えることになるだろう。

USDJPY Ends the Bearish Correction

米ドル・円、デイリーチャート 8月17日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “USDJPY Ends the Bearish Correction” (2022年8月17日, AXIORY Global Market News)                                 
追記:8月18日、日本時間6:00の米ドル・円は135.01-135.08円で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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