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【今週の見通し】(8月29日-9月2日)
先週は26日のジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演を控えた思惑や様子見が優勢となり大きな動きが出づらい状況だった。そのため、米長期金利の動きに左右された値動きが中心となっていたが、FRB高官の積極的な利上げ推進へのタカ派的な発言が相次いだ。さらに26日のパウエル議長の発言を受け底堅い状況となっている。
今週は、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の利上げ観測も残り、米ドルは堅調な状況が続くだろう。また、ユーロはこれから秋に向かっていく中でエネルギー供給への不安がさらに高まり、景気後退への懸念がより高まることから等価(パリティ)の状況が当面続くものとみられる。そのためユーロ・米ドルは、金融政策の違いから米ドルの優勢が続くだろう。また、特に日本時間にはユーロ・円が選考しづらく、値動きが出にくい状況も続くだろう。
経済指標では、特に8月30日の米消費者信頼感指数、9月1日の米ISM製造業景況指数、2日の米雇用統計に注目したい。これらの結果が弱い場合はFRBの利上げペースが減速される期待が高まるだろう。さらに複数のFRB高官の発言機会があるため、それらにも注目したい。
主な金融スケジュール
8月29日(月):景気動向指数(6月、改定状況)
8月30日(火):有効求人倍率・失業率(7月)、米S&Pコアロジック ケースシーラー住宅価格指数(6月)、米JOLT求人件数(7月)、米消費者信頼感指数(8月)、レイナードFRB副議長講演、リッチモンド連銀バーキン総裁講演
8月31日(水):中川日銀審議委員の挨拶、鉱工業生産指数(7月、速報値)、住宅着工件数(7月)、中国製造業・非製造業PMI(8月)、米ADP全米雇用報告(8月)、クリーブランド連銀総裁が講演、アトランタ連銀総裁が講演、露ガスプロム、パイプライン「ノルドストリーム」停止(9月2日まで)、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁講演、クリーブランド連銀メスター総裁講演
9月1日(木):4-6月法人企業統計調査、中国財新製造業PMI(8月)、欧・米・製造業PMI(8月)、米ISM製造業景況指数(8月)、アトランタ連銀ボスティック総裁講演
9月2日(金):ユーロ圏生産者物価指数(7月)、米製造業受注(7月)、米雇用統計(8月)
予想レートは米ドル・円が134円後半から139円前半。ユーロ・米ドルが0.97ドル後半から1.01ドル後半。
【米国】
為替(8月29日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 137.50-137.52 (円)
ユーロ円(EURJPY) 137.07-137.23 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9964-0.9966 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 161.38-161.56 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1735-1.1744 (米ドル)
8月26日のニューヨーク外国為替市場では、カンザスシティー連銀が主催するジャクソンホール会議での米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演に注目が高まった。パウエル議長は、高水準のインフレ抑制に向け利上げを継続し、高水準での金利政策を続ける可能性が高いことを示唆した。インフレ率目標の2%に下げることによって企業や家計に経済的な痛みをもたらすが、FRBにとっては「現時点で最も重要な焦点」とも述べた。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では異例で確実ではないが、前回に続き大幅な利上げをもう一度実施する可能性にも言及した。
また、朝方に発表された8月ミシガン大学消費者信頼感指数(結果:58.2、予想:55.1、速報値:55.1)が速報値から上方修正され、前月の51.5を上回った。なお、FRBが市場の期待インフレ率の動向を捉える上で注視している1年期待インフレ率(結果:4.8%、予想:5.0%、速報値:5.0%)は予想外に低下し、8カ月ぶりの低水準だった。5年後から10年先までの5年間の平均期待インフレ率(結果:2.9%、予想:3.0%、速報値:3.0%)も速報値から低下し、7月の横ばいとなっている。
なお、ボスティック・アトランタ連銀総裁はこの日発表の経済指標でインフレ鈍化が示されたことを受け、年末までに政策金利を3.5-3.75%にするため、9月のFOMCで0.5%の利上げを支持する方向に傾いていると述べた。さらに、フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁はFRBが深刻な景気後退(リセッション)や大規模な失業を引き起こすことなく、インフレを低下させることができると確信しているとした。その上で、たとえリセッションになっても、小幅にとどまるだろうという見解を示した。
2年債と10年債(長期金利)の利回りは、39日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.382%、10年債が3.03%となった。
米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された8月ミシガン大学消費者信頼感指数が良好な結果となり137.26円まで値を上げた。しかし、FRBが市場の期待インフレ率の動向を捉えるうえで注視している1年期待インフレ率が低水準となると、この日の安値136.23円を付けた。その後、パウエル議長の金融引き締め継続への言及やボスティック・アトランタ連銀総裁の発言からドル買いが強まると、この日の高値137.65円まで値を上げ終値は137.64円だった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州の利上げ観測が強まった。ロイターが欧州中央銀行(ECB)の一部の政策担当者が、9月8日の理事会で通常の3倍の0.75%の利上げを議論したいと考えていることが判明した。この報道からユーロ買いが優勢となり、この日の高値1.0090ドルを付けた。その後、米ドル・円で米ドル買いが強まると徐々に値を落とし終値は0.9966ドルとなった。
ユーロ・円(EURJPY)は、朝方にユーロの利上げ観測が強まると、この日の高値137.96円を付けた。その後はユーロ・米ドルにつられ、徐々に値を落とすと136.77円まで値を下げ、137.20円で終えている。
株式
NYダウ平均 USD 32,283.40 -1,008.38(-3.02%)
NASDAQ総合 USD 12,141.710 -497.555 (-3.93%)
S&P500 USD 4,057.66 -141.46(-3.36%)
8月26日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を大幅に下回った。パウエル議長講演でインフレ抑制を最優先とし、金融引き締めの継続が示されるとリスク回避の姿勢が強まり大幅に値を下げた。特に金利上昇懸念から割高感を感じられやすいハイテク株が値を下げ、3指数揃って値を下げ終えた。
債券
米国債10年 3.03%(+0.006)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 93.06 +0.54(+0.58%)(10月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,749.8 -21.60(-1.22%)(12月渡し)
【日本】時間外の米長期金利上昇が支えに
為替(17時)
8月26日の東京外国為替市場は、26日のジャクソンホール会議での米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演を前にインフレ抑制に向けた利上げ継続観測から米ドル買いが優勢となっている。一方で、時間外の米長期金利が上昇したことがプラスとなっている。
米ドル・円は、パウエル議長の講演を控え、昼過ぎまで様子見の姿勢が強かった。しかし、時間外の米長期金利の上昇から徐々に値を上げ、この日の高値137.13円を付けた。その後は小幅に値を下げ17時時点では137.02円となっている。
ユーロ・米ドルは、様子見の姿勢が強くあまり動きが出なかった。欧州勢参加後は、米長期金利の上昇から値を下げ、この日の安値 0.9947ドルを付け、17時時点では0.9974ドルで取引されている。
ユーロ・円は、小幅な動きながら米ドル・円の上昇につられ徐々に値を上げた、欧州勢参加後に小幅に値を下げ136.36円を付けたものの、17時時点では136.66円となった。
債券
国債先物・22年9月限 149.62 (+0.12)
10年長期金利 0.215%(-0.010)