FRBのタカ派的な姿勢からさらに米ドル買い進む

2022/01/28 7:31 JST投稿
 
 

【米国】

  • 為替(1月28日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    115.35-115.35 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    128.53-128.54 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1143-1.1143 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    154.34-154.35 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3379-1.3380 (米ドル)
 
1月27日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の会見で、積極的に金融政策の通常化を推し進めるタカ派的な姿勢や午前中に株価が上昇した影響からリスク回避の姿勢が弱まった。
 
10-12月期 四半期GDP・速報値(前期比年率、結果:6.9%、予想:5.5%、前回:2.3%)が発表され予想を大幅に上回り、2021年通年の成長率は5.7%と1984年以来の伸びを記録し強い結果となった。さらに、前週分の新規失業保険申請件数(結果:26.0万件、予想:26.0万件、前回:28.6万件)が前回より減少し、変異種オミクロンの感染拡大の影響が緩和しつつあることが示された。
 
足元ではウクライナ情勢の懸念は続いており、ユーロが売られやすい状況となっている。
 
米ドル・円(USDJPY)は、114円半ばから115円半ばに堅調に値を上げた。FRBのタカ派的な姿勢やGDPの強い結果、労働市場の懸念の弱まりからこの日の高値115.50円まで値を上げた。その後は、株価の下落や長期金利が低下すると値を下げたが、再び値を戻し115.37円で終えた。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.11ドル後半から前半に下落した。米ドル買いが堅調となった影響から昨年11月24日の安値1.1186ドルを超え、2020年6月2日以来、約1年8カ月ぶりの安値1.1132ドルまで値を下げたが、その後は1.114ドル付近にて横ばいで推移し、終値は1.1145ドルだった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、128円後半中心の値動きとなった米ドル・円の動きにつられ下落後は買戻しが入り上昇したが、株安や長期金利の低下から、この日の安値128.33円まで安くなった。その後、持ち直したが再び低下し終値は128.60円となった。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 34,160.78 -7.31 (-0.02%)
 NASDAQ総合  USD 13,352.783  -189.336 (-1.39%)
 S&P500      USD 4,326.51  -23.42(-0.54%) 
 
1月27日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日連続で前日の終値を下回った。昨日のFOMCを受け、金融政策の通常化に向けたペースの不透明感の強まりから不安定な動きが続いている。好調な決算が予想される銘柄に買いが入り10時過ぎに前日の終値を600ドル超上回っていたが、昼過ぎから徐々に低下しマイナス圏とプラス圏を行き来する展開となり、最終的には小幅に沈み終えた。
 

  • 債券

 米国債10年 1.803(-3.43%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 86.61 -0.74(-0.85%)(3月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,795.0  -37.0(-2.02%)(4月渡し)
 
 

【日本】FOMC受け日米金利差が意識され米ドル買いに

  • 為替(17時)

1月27日の東京外国為替市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた米長期金利上昇が支えとなったが、午前中に日経平均が下落するとリスクを回避したい姿勢の強まりから円が買われた。その後は、日米金利差が意識され米ドル買いが優勢となった。
 
地政学リスクが高まるウクライナ情勢への懸念から、ユーロは売りが優勢となっている。ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が1月26日に日本外国特派員協会で記者会見し、日本の外交と経済協力への期待を示した。ウクライナ情勢に関しては、欧州はドイツを経由しロシアから天然ガスの供給を受けており、現在上昇しているガス価格がさらに上昇する懸念がある。日本は、液化天然ガス(LNG)輸入量の約1割がロシア産となっており影響が懸念される。また、ロシアに対して外交上で非常に弱い姿勢を見せるなど、対応を誤ると外交の毀損につながりかねず、各国の出方を見ている中国に対する影響も出てくるだろう。
 
米ドル・円は114円後半での取引が中心だった。11時過ぎに、リスク回避から日経平均が値を下げると、この日の安値114.78円まで売られた。しかし、その後は日米金利差が意識され、再び米ドル買いに転じ徐々に値を上げ、この日の高値114.82円まで上昇し、17時時点では114.76円となった。
 
ユーロ・米ドルは1.12ドル前半中心の取引となり、徐々に値を下げた。米ドル買いが強まった影響やウクライナ問題の懸念からユーロ売りが優勢となり、昨年11月24日以来の安値1.1195ドルまで売られた。その後は、ほぼ横ばいで推移し17時時点では1.1198ドルだった。
 
ユーロ・円は128円後半中心で取引された。朝方は株高を受け、この日の高値129.02円まで買われたが、その後はウクライナ情勢の懸念や米ドルが上昇した影響から値を下げ128.60円付近で取引されたが、さらに値を下げ、この日の安値128.47円に下落し17時には128.51円で取引されている。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     26,170.30円  -841.03(-3.11%)
  安値26,044.52円  -  高値 27,193.59円
 東証出来高 1,545,26万株
 東証売買代金 3兆8216.77億円
 
1月27日の日経平均株価は3日連続で終値を下回った。2020年11月24日(26,165.59円)以来の安値水準となり、東証1部の保険業と鉱業以外の31業種で値を下げ、約95%の銘柄で安くなった。朝方は、前日の安値を受け小幅に買われたが、FOMC後のパウエル議長が積極的に利上げに向かうタカ派と受け止められ、景気敏感株が中心に売られ、14時過ぎに前日の終値を1000円近く下回った。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.021%
 

  • 債券

 国債先物・22年3月限  150.75 (-0.21)
 10年長期金利  0.155%(+0.020)
 
 

【マーケットアナリティクス】米ドル円は短期利回りとともに上昇(1月27日 14:27 CET)

FOMCの決定を受け米ドルは堅調に推移し、ユーロ・米ドルは1.12ドルを下回る数ヶ月ぶりの安値に下落した。同時に、ドルインデックスは2020年7月以来の97を超える水準まで上昇した。本稿執筆時点では、米ドル・円ペアは0.5%上昇し、115.50円付近で取引されている。
 
FRBの引き締め期待により、金融政策に敏感な反応が出る米2年債利回りが2020年2月の水準の1.208%に上昇した。ベンチマークとなる10年債利回りは、水曜日に1.88%の高値をつけた後、この日は1.835%とわずかに低下した。10年債と2年債の金利差(スプレッド)は、投資家が中期的な利上げペースの速さを織り込み、2020年後半以来の狭さに低下している。
 
113.60円付近の重要な下値支持線(サポート)が米ドルを上昇させ、11月の高値115.50円に接近しているようだ。米ドルがこのレベルを上回ると、116.00円を超える現在のサイクル高値に向けて一気に上昇する可能性がある。
 
米ドル・円は短期米利回りと大きな相関があるため、最近の停滞はやや意外な状況だ。一方で、米ドルが強気(ブル)な勢いを失った場合、短期的なサポートは115円に、もう一つの需要エリアはおそらく114.70円近辺となる。
 
日足チャートでは、MACD指標(※)が強気(ブル)シグナルを発信しており、現在の上昇トレンドの勢いが確認できる可能性がある。
 
(※)MACD(マックディ)指標:「Moving Average Convergence Divergence」の略。相場の分析において過去の値動きから将来の値動きを予想するテクニカル分析の手法の一つ。 一定期間の平均値を線でつなぎ合わせた移動平均線を用い、価格の推移をグラフ化し短期と中長期の移動平均線の動きから早期の売買タイミングを判断するのに用いられる。
 

米ドル・円デイリーチャート 1月27日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “USDJPY Advances Along With Short-term Yields” (2022年1月27日, AXIORY Global Market News)
 
追記:1月28日、日本時間6:00の米ドル・円は115.35-115.35円で取引されている

この記事をシェアする
アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


もっと読む
クッキー(Cookie)について: お客様が本ウェブサイトにアクセスする際、セキュリティの確保やお客様に関する情報を取得することを目的に、クッキー(Cookie)を使用する場合があります。 本ウェブサイトにお客様が継続的に訪問する場合、クッキーについて同意することと見なします。またクッキーはいつでも削除することが可能です。
FAQ お問合せ サポートデスク
月曜日-金曜日
9:00-24:00