2022/02/21 6:50 JST投稿
【今週の見通し】(2月21日-2月25日)
先週は、日本銀行は2月14日午前に長期金利の上昇を目的とした指定利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を発動した。2018年7月以来、約3年半ぶりの実施で市場の金利は実質0.25%が上限となった。
また、ウクライナ情勢をめぐって米露が対立を深めている中、ロシアによるウクライナ侵攻への懸念が強まり、情報の錯綜が値動きに影響している。さらに、リスク回避に向け、米国債が買われ長期金利が低下したことも意識されている。
今週も引き続きウクライナ情勢に左右されると思われるため、値が上げづらい状況は続くだろう。
注目の経済指標は、今後の動きに影響を与える2月24日発表の10-12月期 四半期国内総生産(GDP)と2月25日発表の1月 個人消費支出(PCE)だ。
予想レートは米ドル・円が113円前半から116円半ば。ユーロ・米ドルが1.12ドル前半から1.14ドル前半。
【米国】
米ドル円(USDJPY) 114.99-115.06 (円)
ユーロ円(EURJPY) 130.21-130.30 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1320-1.1325 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 156.25-156.43 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3587-1.3592 (米ドル)
2月18日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ロシア国防省はプーチン大統領が指揮する軍事演習を2月19日に実施すると発表した。さらに、バイデン大統領はプーチン大統領がすでにウクライナ侵攻を決定し、首都キエフを含め同国を近日中に攻撃する計画であることを確信していると述べ、リスク回避の姿勢が強まった。2月21日はプレジデントデーのため3連休で休場となるため、様子見の場面も強まっている。
また、欧州中央銀行(ECB)は、理事会メンバーが2月24日午後にパリで非公式会合を行うと発表した。翌日の2月25日にはパリで欧州連合(EU)財務相による非公式会合が開催される予定だ。なお、理事会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁はブルームバーグのインタビューで、ECBの資産購入プログラム(APP)を8月で終了することが可能だとの認識を示した。
米ドル・円(USDJPY)は、115円前半で取引された。ウクライナ情勢への懸念から安全資産の債権を買う流れとなり、長期金利が徐々に低下した影響から米ドル売りが強まったものの、ユーロ米ドルでドルが買われた影響が大きかった。3連休を控えた影響もあり、大きな値動きに発展しづらく115.01円で終えた。なお、長期金利は、一時1.923%まで安くなっている。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.13ドル後半から前半に値を下げた。地政学リスクが意識されユーロ売りが優勢となり、この日の安値1.1315ドルまで売られた。その後はECBの年内利上げ観測が強まり持ち直したものの、リスク回避の姿勢は強く、再び小幅に値を下げ終値は1.1322ドルだった。
ユーロ・円(EURJPY)は、130円後半から前半に値を下げた。ウクライナ情勢悪化への懸念から安全資産の円買いが強まり、この日の安値130.21円まで売られた。その後、ユーロ・米ドルの流れにつられユーロが買われ小幅に値を上げたが、再びリスク回避の姿勢が強まり終値は130.22円となった。
NYダウ平均 USD 34,079.18 -232.85 (-0.67%)
NASDAQ総合 USD 13,548.066 -168.653 (-1.22%)
S&P500 USD 4,348.87 -31.39(-0.71%)
2月18日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日連続で前日の終値を下回った。朝方は前日に下げた反動から買戻しが入り上昇し、前日の終値を上回る場面もあった。その後は、ウクライナ情勢への懸念から値を下げ、前日の終値を下回り15時30分過ぎに300ドル超まで下げ幅を拡げ、そのまま終えた。
米国債10年 1.928(-0.036%)
NY原油(WTI) 1バレル=USD 91.07 -0.69(-0.75%)(3月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,899.8 -2.20(-0.12%)(4月渡し)
【日本】リスク回避の姿勢が和らぎ小幅に上昇
2月18日の東京外国為替市場は、ウクライナ情勢で緊張感が高まる中、昼前にブリンケン米国務長官は、ロシアがウクライナに侵攻しないことを条件に、ロシアのラブロフ外相と来週の会談要請を受諾したとの報道からリスク回避の姿勢が和らいだ。
米ドル・円は115円前半中心の取引となった。朝方はウクライナ情勢や株安からリスク回避の動きが出て、この日の安値114.79円まで売られたが、米露外相会談の実施が報じられるとリスク回避の姿勢が和らぎ115.27円まで値を上げた。その後、小幅に値を下げたが堅調に推移していたが、欧州勢参加後に値を下げ17時時点では115.12円となった。
ユーロ・円は、130円後半中心で取引された。朝方に地政学リスクが意識され、この日の安値130.40円までユーロが売られたが、リスクが軽減されると131.01円まで買い戻された。週末のため値を上げづらく、ほぼ横ばい推移し17時時点では130.89円だった。
ユーロ・米ドルは1.13ドル後半中心の取引となった。朝方にこの日の安値1.1358ドルまで売られたが、リスク回避の動きが和らぐと値を上げ、この日の高値1.1374ドルまで買い戻された。その後は、取引が控えられ17時時点では1.1370ドルで取引された。
日経平均株価 27,122.07円 -110.80(-0.41%)
安値26,792.54円 - 高値 27,216.16円
東証出来高 1,125,66万株
東証売買代金 2兆8069.26億円
2月18日の日経平均株価は連日で前日の終値を下回った。朝方は、米国市場の下落を受けた上、ウクライナの地政学リスクが意識され10時前に440円ほど前日の終値を下回った。その後は、米国とロシアの外相会談のニュースが報じられると、リスク回避の動きが和らぎ下げ幅を縮めたものの、週末のため積極的な取引は控えられた。終日マイナス圏で取引され、東証1部の53%の銘柄で値を下げた。
無担保コール翌日物金利 -0.018%
国債先物・22年3月限 150.03 (+0.10)
10年長期金利 0.215%(-0.005)
【マーケットアナリティクス】カナダ小売売上高のデータ発表前に、USDCADは安定(2月18日 14:15 CET)
金曜日の米国時間中、米ドル・カナダドル(USDCAD)は、横ばいの1.27カナダドル付近で推移している。これは、本日、1月のカナダADP雇用統計と新築住宅価格指数の発表を控えている影響からだ。
また、12月のカナダ小売売上高は、11月の0.7%から前月比-2.1%に減少すると予想されている。自動車を除く指標は1.1%から-2%に低下すると見られており、カナダドルの売りにつながる可能性が高い。
その他、ロシアとウクライナの紛争が外交的に解決する可能性があり、WTI原油先物は高値から5米ドル下落し境目の90米ドルを下回ることになった。カナダドルは原油価格と連動しているため、カナダドルにとっては弱気(ベア)を推進する可能性がある。
下値支持線(サポート)は1.2650カナダドル付近で、上値抵抗線(レジスタンス)が1.2780カナダド付近のレンジにとどまっている。先行き不透明な状況が続いているため、投資家ははこのレベルの上方または下方のいずれかへのブレイクを待たなくてはならない。
強気(ブル)となり上値抵抗線(レジスタンス)を超えた場合、次のターゲットは心理的なレベルの1.30カナダドルになる可能性がある。また、下方にブレイクした場合は、1.2560カナダドルに向けて進む可能性もある。
米ドル・カナダドル、デイリーチャート 2月18日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “USDCAD Stable Ahead of Retail Sales Data” (2022年2月18日, AXIORY Global Market News)
追記:2月21日、日本時間6:01の米ドル・カナダドルは1.2754-1.2758カナダドルで取引されている