2022/03/14 6:19 JST投稿
【今週の見通し】(3月14日-3月18日)
先週もウクライナ情勢に左右されたが、後半は持ち直す日もあった。ウクライナ情勢は、長期化が見込まれ、値動きが激しい動きは当面続く模様だ。今週、3月15、16日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが確実視されており、更なる日米金利差が見込まれている。この影響に、ウクライナ情勢混乱による「有事の米ドル買い」も入り、米ドルを買い、円を売る動きは高まるだろう。3月16日に発表される2月 米小売売上高にも注目したい。
国内では3月17、18日に日銀の金融政策決定会合が開催されるが、市場に影響を与える影響は軽微と思われる。
予想レートは米ドル・円が115円前半から118円後半。ユーロ・米ドルが1.06ドル前半から1.10ドル後半。
【米国】
米ドル円(USDJPY) 117.33-117.39 (円)
ユーロ円(EURJPY) 128.11-128.25 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0921-1.0923 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 152.96-153.13 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3037-1.3045 (米ドル)
3月11日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、欧州時間にプーチン大統領がウクライナとの交渉で一定の進展がある旨を示唆すると、投資家心理が和らぎを見せる場面もあった。しかし、ウクライナのクレバ外相が「進展はなかった。ロシアが停戦協定を結ぶとは思えない。ウクライナは戦いを続ける。」と述べ、投資家心理が一気に冷え込んだ。
さらに、バイデン米大統領はロシアへの追加経済制裁として、世界貿易機関(WTO)協定に基づく貿易優遇措置「最恵国待遇」を取り消すと表明した。合わせて、ロシア産のダイヤモンド、ウオッカ、魚介類の輸入の禁止も言及した。
また、3月 ミシガン大学消費者態度指数・速報値(結果:59.7、予想:61.4、前回:62.8)は、2011年9月以来、10年半ぶりの低い水準となった。ロシアとウクライナの紛争が長期化している影響からガソリン価格が過去最高値となったことも影響が大きく、予想以上に落ち込んでいる。
ユーロ・円(EURJPY)は、129円前半から127円後半に値を下げた。欧州時間に、ウクライナ情勢への懸念が和らぎ、この日の高値129.04円に上昇した。その後、ウクライナ情勢の不透明感の高まりから、徐々に値を下げ127.96円で終えた。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.10ドル前半から1.09ドル後半に値を下げた。ウクライナ情勢の長期化への懸念から徐々に値を下げ、この日の安値1.0902ドルまで売られ、終値は1.0912ドルだった。
米ドル・円(USDJPY)は、116円後半から117円前半に値を上げた。朝方に発表された弱い3月 ミシガン大学消費者態度指数の結果から小幅に値を下げた。しかし、前日に発表された2月米消費者物価指数(CPI)が40年ぶりの大幅な伸び率を記録し、早期の利上げ観測が強まり長期金利が2.022%に上昇した。この影響から米ドル買いが強まり堅調に値を上げ、この影響から米ドル買いが強まり堅調に値を上げ、2017年1月以来、約5年2カ月ぶりの高値117.36円に上昇。終値は117.29円となった。
NYダウ平均 USD 32,944.19 -229.88 (-0.69%)
NASDAQ総合 USD 12,843.808 -286.155 (-2.17%)
S&P500 USD 4,204.31 -55.21(-1.29%)
3月11日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、2日連続で前日の終値を下回った。ロシアとウクライナが停戦に向け努力を続けているとの見方が強まり、14時30分頃まで買いが優勢だった。ロシアのウクライナ攻撃が強まり、さらにロシアを取り巻く情勢への懸念が高まり、3指数揃って下落し終えた。
米国債10年 1.998(+0.004%)
NY原油(WTI) 1バレル=USD 109.33 +3.31(+3.12%)(4月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,985.0 -15.40(-0.77%)(4月渡し)
【日本】早期利上げ観測強まり米ドルは上昇
3月11日の東京外国為替市場は、前日に発表された2月 米消費者物価指数(CPI)の結果から早期の利上げ観測が高まった。米ドル建ての商品価格の上昇を受けた、需要の高まりも出ている。
米ドル・円は116円前半から後半に上昇した。早期利上げ観測や、商品価格の上昇を受け、決済に向けた米ドルの需要が高まり値を上げた。一時、2017年1月11日以来の高値116.74円を付け、17時時点は116.71円で取引されている。
ユーロ・米ドルは1.19ドル後半中心で取引された。米ドル・円が上昇した影響と同様に、対ユーロでも米ドルが買われた。足元ではウクライナ情勢の不透明感があり、値を上げにくい状況から値動きは出づらかった。その後、欧州勢が参加すると、徐々に値を下げ17時時点では1.0985ドルとなった。
ユーロ・円は、127円後半から128円後半に上昇した。米ドル・円で米ドル買いが強まった影響を受け、ユーロが堅調に値を上げた。この日の高値128.55円まで買われたが、17時時点では128.21円だった。
日経平均株価 25,162.78円 -527.62(-2.05%)
安値24,966.50円 - 高値 25,503.65円
東証出来高 1,421,33万株
東証売買代金 3兆3145.98億円
3月11日の日経平均株価は再び前日の終値を下回った。前日に1000円近く上昇した反動から、昼過ぎに700円超、前日の終値を下回る場面があった。インフレ懸念やウクライナ情勢の不透明感から週末前に利益を確定させる動きが強まり、終日マイナス圏で取引された。東証1部の78%の銘柄で値を下げている。
無担保コール翌日物金利 -0.010%
国債先物・22年3月限 150.41(+0.02)
10年長期金利 0.180%(-0.005)
【マーケットアナリティクス】ポンド円は200日先行移動平均線を試す(3月11日)
トレーダーは楽観的な状況から、株などのリスク資産を買い、安全資産の円を売り、ポンド・円(GBPJPY)を200日移動平均線(緑のライン※)の153.30円に向け押し上げた。
このレベルが上方にブレイクされた場合、155.25円付近の50日移動平均線(紫のライン※)に向け、さらに上昇する可能性がある。
もしくは、トレーダーが現在の上昇で売った場合、152.50円の下値支持線(サポート)ゾーン付近に下落する可能性もある。短期的な見通しは、ウクライナ情勢に左右されそうだ。
米ドル・円(USDJPY)は、すでに数カ月にわたる三角保合い(トライアングルフォーメーション※1)から上方にブレイクし、2017年以来の高水準に急騰している。したがって、ポンド・円にはさらなる買い圧力がかかるかもしれない。
ポンド・円は149~158の狭いレンジに留まっているため(チャートに青い水平線で示した通り)、長期的な観点から中立的な見通しだ。
この日未明、イギリスの国家統計局は、変異種オミクロンの感染拡大と感染対応策「プランB」の規制による打撃後、1月の英国経済が力強く立ち直ったことを示した。英GDPは12月の0.2%減の後、0.8%増となり、予想の0.1%増を大幅に上回った。この結果、英GDPはパンデミック前の2020年2月の水準を0.8%上回っている。
最初の反応ではポンドは上昇しなかったが、米国セッションを前に投資家心理が改善し、ポンドが強くなった。
※移動平均線:一定期間(この場合は200日間と50日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。
※1三角保合い(トライアングルフォーメーション):株価が上下しながらも横ばいの動きを続け(「保合い」)、その上下の動きがだんだん小さくなりチャートの形が三角形のようになる状態を示す。その後、上下に大きく動く。一般的に保合いの期間が長くなると、その間にエネルギーを溜め込んでおり、より大きく動くと考えられている。重要度が非常に高い分析手法。
先行移動平均線(Displaced Moving Average:DMA)は、移動平均線を本来の位置から未来や過去にずらして表示するもの。上値の抵抗線(レジスタンス)や下値の支持線(サポート)の推移を想定するのに有効。
ポンド・円、デイリーチャート 3月11日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “GBPJPY Tests 200 DMA” (2022年3月11日, AXIORY Global Market News)
追記:3月14日、日本時間6:04のポンド・円は152.96-153.13円で取引されている