FOMCと日銀政策決定会合控え様子見強まる

2022/09/20 7:37  JST投稿
 
 

【米国】

為替(9月20日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    143.18-143.21 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    143.54-143.57 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0022-1.0025 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    163.66-163.79 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1428-1.1434 (米ドル)
 
9月19日のニューヨーク外国為替市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の政策決定会合を控え様子見の姿勢が強まっている。
 
朝方に発表された9月 NAHB住宅市場指数(結果:46.0、予想:47.0、結果:49.0)は、9カ月連続で低下した。これは1985年の調査開始以降で最長の連続低下だ。住宅ローン金利は大幅な利上げ観測を受け、先週、2008年以来初の6%を上回る水準で推移しており上昇の影響が大きい。
 
また、金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、54日連続で逆転(逆イールド)した。終値ベースで2年債が3.946%、10年債が3.494%となっている。10年債は一時3.518%と2011年4月以来、11年ぶりの高水準となった。2年債も上昇し、一時3.97%と2007年11月、15年ぶりの高水準となり、さらに逆イールドが進んでいる。
 
米ドル・円(USDJPY)は、英休場やFOMC、日銀政策決定会合を控え積極的な取引は控えられた。一方で、米国の積極的な金融引き締め政策と日銀の姿勢が意識され、米ドル買いが優勢となっている。朝方は、長期金利が11年ぶりの高水準を受け米ドル買いが入り、この日の高値143.64円を付けた。しかし、前週末の高値143.69円が意識されたことに加え、9月 NAHB住宅市場指数の低調な結果や長期金利の低下から値を下げ、143.15円まで値を下げた。その後は、様子見の姿勢が強まり小幅な動きに留まり終値は143.21円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米ドル・円の動きにつられた。朝方にこの日の安値0.9966ドルを付けたが、長期金利の低下からユーロ買いが優勢となり1.0028ドルまで値を上げ、1.0024ドルで終えている。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、朝方に米ドル・円の低下を受け、この日の安値142.80円を付けた。しかし、買戻しやユーロ・米ドルの上昇につられ、この日の高値143.62円まで値を上げた。その後は小幅な動きに留まり終値は143.54円だった。
 
 
株式
 NYダウ平均  USD 31,019.68 +197.26(+0.63%)
 NASDAQ総合  USD 11,535.020    +86.616 (+0.75%)
 S&P500      USD  3,899.89  +26.56(+0.68%) 
 
9月19日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日ぶりに終値を上回った。長期金利が11年ぶりの高水準となった影響から投資家心理が冷え込み、売りが優勢となった。しかしながら、金利の上昇が落ち着くと買戻しが優勢となり、消費関連株の買いに転じた。徐々に上昇し、3指数揃って値を上げ終えた。
 
債券
 米国債10年 3.494%(+0.047)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 85.11 +0.62(+0.73%)(10月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,678.2  -5.30(-0.31%)(12月渡し)
 
 

【日本】日英祝日の影響が出るも米ドルは堅調

為替(17時)
9月19日の東京外国為替市場は、敬老の日の祝日や英国の祝日により参加者が限定的ながら、日米金融政策の違いが意識され米ドル買いが優勢だった。
 
米ドル・円では、朝方に利益確定売りが出て、この日の安値142.65円まで値を下げた。その後は、堅調に値を上げ、この日の高値143.54円となり17時時点では143.51円だった。
 
ユーロ・米ドルは、米ドル・円が堅調に値を上げた動きにつられ徐々に値を上げ、この日の安値0.9966ドルを付けた。英国市場の休場から参加者が限定的だった影響も大きく、17時時点では0.9979ドルとなった。
 
ユーロ・円は、方向性のない取引となった。日中は小幅な動きに留まっていたが、欧州勢参加後にユーロ・米ドルの動きにつられた。この日の安値142.80円を付けたが、小幅に持ち直し17時時点では143.21円で取引されている。
 
*敬老の日の祝日による債券等は休場
 
 

【マーケットアナリティクス】米ドル円は日銀とFRBの発表待ち(9月19日)

米ドル・円はこの日、小幅に上昇し境目の143円を超え落ち着く見込みで、堅調に推移している。しかし、今週中はさらなる価格変動(ボラティリティ)が起こる見込みだ。
 
一方で、米2年債利回りは境目の4%に挑んでおり、米ドル・円の上昇を支えている。しかし、今週、日本銀行(BOJ)による為替介入の可能性があり、結果によっては上昇ペースが鈍化するだろう。
 
日銀は非常に慎重な姿勢で臨む
日銀幹部はさらなる円安の回避に向け、今週の会合で現在の超金融緩和政策を終了させる見込みだ。そのため、日銀幹部は「中立」のスタンスで臨むとみられ、新たな景気刺激策は明らかにされないだろう。現状では日本の当局者が円安の懸念から、為替介入を計画していることを考えると、中立的な行動が予想される。
 
マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)のエコノミストは日銀会合に先立ち「日銀は食品価格の上昇によるインフレ圧力の上昇を監視している。円が対ドルで24年ぶりの安値まで下落すると、日銀に対する政治的圧力が高まる可能性がある、しかしながら、日銀の理事会は2022年4-6月のGDPギャップが-3.1%のため、緩和変調を維持するだろう」と述べた。
 
今週は複数の中央銀行会合が予定されており、各国がどのように対応するのかに注目が集まっている。コメルツ銀行のエコノミストは、「誰が最も行動を起こさないか、あるいは最も影響を与えないかは明らかだ。それは日本銀行(BOJ)だ。」と述べた。この見方から、米ドル・円は境目の150円を試すことになりそうだ。
 
短期的な見通しは強気
現在、トライアングルコンソリデーションの中で取引されており、通常、主要トレンドの方向は上方へブレイクされる見込みだ。そのため、上値抵抗線は144-145円付近にある。また、米ドルがこのレベルを飛び越えた場合、境目の150円に向けた急速な上昇を見ることができるかもしれない。
 
あるいは、トライアングルが下方にブレイクした場合、米ドル円は140円ゾーン、あるいは137円の需要レベルまで下落する可能性もある。
 
 
米ドル・円、デイリーチャート 9月19日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “USDJPY Awaits BoJ and Fed Combo” (2022年9月19日, AXIORY Global Market News)    
 
追記:9月20日、日本時間6:00の米ドル・円は143.18-143.21円で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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