USDJPY 米経済指標や日米金利差に左右された値動きに

2022/11/04  7:34  JST投稿
 

【米国】

為替(11月04日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 148.18-148.28 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 144.54-144.60 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9746-0.9750 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 165.36-165.51 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1157-1.1164 (米ドル)

11月3日のニューヨーク外国為替市場では、米経済指標の結果に左右されるも各国の金利差が価格変動に影響を及ぼした。また、翌日の米雇用統計や日本の円買い介入も意識されている。

まず、朝方に発表された先週の新規失業保険申請件数(結果:21.7万件、予想:21.9万件、前回21.7万件)が予想外に減少した。低水準での推移が続いており、堅調な労働需要が示された。一方で、失業保険継続受給者数(結果:148.5万件、予想:144.9万件、前回143.8万件)は3月以来の高水準を記録し、長期失業者数増加の兆候につながる恐れが強まった。10年債利回りは4.223%まで上昇している。

また、10月ISM非製造業景況指数(結果:54.4、予想:55.2、前回:56.7)は、2020年5月以来の低水準となり、低調な結果を示した。成長の鈍化観測が強まり、長期金利の上昇が抑制されている。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、85日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.718%、10年債が4.149%だった。

合わせて、イングランド銀行(英中央銀行)が、政策金利を予想通り0.75%引き上げ、14年ぶりの高水準の3%と定め、利上げ幅が過去33年で最大となった。今後も大幅な利上げが続くとの市場予想を打ち消し、「仮に市場の予想通りの金利を適用させた場合、2年にわたる景気後退につながる」と警告している。今回、金融政策委員会(MPC)メンバー9人中7名が利上げを支持し、2名は小幅な利上げを主張した。これを受け、ポンドは対米ドルで1.1266ドルから1.1152ドルまで下落し、10月21日来の安値を更新。米英の金利差拡大の観測が強まり、下値が等価(1.0000ドル)に達する見込みが強まっている。

さらに、この日は欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーの発言が相次いだ。ラガルド総裁は、「景気後退によってインフレを落ち着くとは考えていない」と述べた。さらに、「米連邦準備制度の決定など外的な要素も考慮に入れる必要があり、それは最善の金融政策を決定するのに役立つが、皆が同じなわけではなく、同じペースで進むことや経済に対して同じ診断を用いることはできない」との考えを示唆した。合わせて、ナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁やカザークス・ラトビア中銀総裁などの利上げによる経済へのリスクの警告が嫌気されている。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された良好な新規失業保険申請件数結果から、長期金利が4.223%に上昇し米ドル買いが強まり、この日の高値148.45円を付けた。しかし、10月ISM非製造業指数の低調な結果を受から米ドル売りに転じ、147.61円まで値を下げている。下げ止まりが見られると日米金利差が意識され投資家心理が上向き、米ドルの買い戻しになり148円前半まで値を戻した。その後は、翌日の雇用統計が意識され様子見の姿勢が強まり、ほぼ横ばいで推移するも長期金利の低下が嫌気され終値は148.26円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州の景気後退懸念が強まる中、ラガルド総裁などの弱気な発言が嫌気され徐々に値を下げた。一時、米経済指標の弱い結果を受け0.9732ドルから0.9795ドルまで上昇したが、徐々に値を下げ終値は0.9749ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ラガルド総裁などの弱気な発言や弱い米経済指標から円買いにつながり、144.04円まで安くなった。その後は日本と欧州の金利差が意識されると投資家心理が上向き、144.70円まで値を戻した。しかし、小幅に値を下げ144.56円で終えている。

株式
 NYダウ平均 USD 32,001.25 -146.51(-0.45%)
 NASDAQ総合  USD 10,342.941   -181.856 (-1.72%)
 S&P500     USD  3,719.89 -39.80(-1.05%)

11月3日の米株式市場のダウ工業株30種平均は4日連続で前日の終値を下回った。朝方に発表された新規失業保険申請件数で低水準が続いており、金利上昇を警戒した売りから始まった。一時、長期金利の上昇に伴い前日の終値を上回る場面が何度かあったが、翌日の雇用統計を見極めたいとの思惑も出て、持高の調整売りにつながり値を下げ終えている。

債券
 米国債10年 4.149%(+0.088)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 88.17 -1.83(-2.03%)(12月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,630.90 -19.10(-1.16%)(12月渡し)
 

【日本】祝日で薄商いながら地政学リスク強まる

為替(17時)
11月3日の東京外国為替市場は、文化の日の祝日により参加者が少なく薄商いの中、北朝鮮による連日のミサイル発射からリスク回避の動きが出た。

米ドル・円は、朝方はパウエル議長の会見後147円後半を保ち、東京市場まで持ち越した。しかし、連日で北朝鮮によるミサイル発射の報道を受けると、地政学リスクが意識され円買いが強まった。この影響から147.11円まで安くなるも、時間外の米長期金利が上昇すると米ドル買いに転じ、この日の高値148.06円まで値を戻し17時時点で147.90円となっている。

ユーロ・米ドルは、前日の米ドル高の流れを受け継ぎ、米ドル買いが優勢だった。小幅ながらじわじわと値を下げ、10月21日以来の安値となる0.9773ドルまで低下し、17時時点では0.9783ドルだった。

ユーロ・円は、ユーロ・米ドルの下落や地政学リスクが意識されると円買いが優勢となり145.36円から144.58円まで値を下げた。その後は小康状態となり144円後半の狭い値幅で推移し、17時時点では144.69円で取引されている。

*文化の日の祝日により債券市場は休場

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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