【今週のハイライト】米関税政策などを巡り警戒感の高まりを受けて、ドル売りが先行した

為替(2025年2月14日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   152.73(円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.0460  (米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   159.78   (円)
ポンド円          GBP/JPY   191.83  (円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.2559  (米ドル

 
米ドル円
10日(月)は、週明け早朝のトランプ関税報道を背景としたドル買いは一服し151.62円まで下押したが、東京仲値にかけてドル買い・円売り需要も意識されると152.21円まで上値を伸ばした。安く始まった日経平均株価が一時プラス圏を回復したことも相場を下支えした。もっとも早朝から1円近く上昇していることもあり、やや伸び悩み151.77円まで下押した。米10年債利回りが低下したことを受けて全般でドル売りが先行した。もっとも24時以降は米10年債利回りが下げ幅を縮小しNY市場オープン時の水準まで戻したことで、ドルの買戻しが優勢となった。もっとも今週はパウエルFRB議長の発言や米CPIなどの重要イベントを控えていることもあり、大きな方向感は出にくかった。
 
11日(火)は、トランプ大統領が同盟国なども例外なく関税を導入するとしたことを嫌気し、151.68円まで弱含んだ。その後は152.06円まで買い戻されるものの、東京勢不在ということもあり上値は限定的だった。またNY時間にはパウエルFRB議長の発言が控えていることもあり様子見ムードが強く方向感なく小幅に揉み合った。15時過ぎには151.83円まで小幅に下値を広げたが、すぐに買い戻され151.93円前後でもみ合った。米10年債利回りが上昇幅を拡大する中で円売り・ドル買い地合いが強くなり152.51円まで上値を伸ばした。ただ前日の高値152.54円が目先のレジスタンスとして意識されると失速した。一時152.23円まで下押したものの、パウエルFRB議長の発言が1月FOMCと変わらず「政策調整を急ぐ必要はない」という見解であることが伝わると、再び152.59円まで上値を伸ばし、日通し高値を更新した。
 
12日(水)は、祝日明けの東京市場では前日までの海外市場の円売りの流れを引き継ぎ、強含みした。東京序盤から円売り・ドル買い基調が続く中で米10年債利回りが上昇したことも支えに153.73円まで上昇した。その後はやや伸び悩んだが戻しは153.41円までと限定的だった。米消費者物価指数の発表を控える中で様子見ムードが続いたが、トランプ大統領による「金利は低下すべきだ」との発言からややドルが売られたが限定的だった。米消費者物価指数が市場予想よりも強い内容であることが伝わると米10年債利回りの上昇とともにドル買いが優勢となり、25時台には154.80円まで上値を伸ばした。もっとも米10年債利回りが上昇幅を縮小すると上値が重たくなり154.28円まで売り戻されたが、下値は限定的だった。
 
13日(木)は、本邦の輸入物価指数の上昇を受けて、やや売りが先行し154.12円まで下押したものの、東京仲値にかけては一転して買いが優勢となった。もっとも上値は154.67円にとどまり、その後は米10年債利回りの低下とともに失速した。その後は対ユーロでドル売りが優勢となっていることを受けて、153.95円まで下押す場面もあった。米卸売物価指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想よりも強い内容だったことが伝わると一時154.80円まで上昇し日通し高値を付けた。もっともその後は4.61%まで上昇していた米10年債利回りが上昇幅を縮小したことで、ドル円も上値が重たくなり徐々に高値を切り下げていき、152.70円まで下押した。
 
ユーロドル
10日(月)は、トランプ大統領の関税報道を背景にドル買い優勢で始まったものの、買い一巡後は1.0318ドルまで買い戻された。ただその後はドル円でドル買いが優勢となった事を受けて、1.0298ドルまで売り押された。もっとも、ドル円の伸び悩みを確認すると、ユーロドルでも1.0321ドルまで再び上昇した。その後は1.0316ドル前後でのもみ合いとなり方向感は出なかった。23時台には1.0303ドルまで下押すなどドル買いが先行したが、米10年債利回りの低下もあり1.0319ドルまで下げ渋った。もっとも今週はパウエルFRB議長の発言も控えていることから様子見ムードが強く大きな方向感は出にくかった。米10年債利回りが低下幅を縮小したことで上値は抑えられたものの、積極的に売り進めていくような展開とはならなかった。
 
11日(火)は、対円でドルが売られていることも支えとなり1.0306ドルまで上値を伸ばした。ただユーロ円でのユーロ売りが重しとなり上値は抑えられた。その後は対円でドル買いが進むと12時前には1.0291ドルまで下押した。欧州勢参入後には対ポンドでドル買いが進んだことと対ポンドでユーロ買いが強まった影響を受け、1.0305ドル前後で方向感なくもみ合った。米10年債利回りの上昇を受けて1.0316ドルまで下押したものの、欧州時間序盤のユーロ買い・ドル売りの流れを引き継ぎ上昇した。対円でドル買いが一服したことや独10年債利回りの上昇も手掛かりとなり、1.0351ドルまで上昇した。その後は買いが一服し、伸び悩んだが29時前には特段の材料はないものの1.0381ドルまで上昇した。
 
12日(水)は、円主導の動きとなる中で動意が薄くドル円の上昇とユーロ円の上昇に挟まれる形で、1.0360円を挟み方向感なくもみ合う展開となった。欧州勢参入後には独長期金利が上昇してスタートしたことも追い風となりユーロ買いが優勢となった。17時過ぎには1.0379ドルまで上値を広げた。欧州序盤から底堅い動きとなり20時過ぎに1.0385ドルまで上値を伸ばすも、米CPIの発表を控える中で積極的に上値を試す展開とはならなかった。もっとも米CPIが市場予想を上回る結果であることが伝わると、ドル買いが優勢となり1.0316ドルまで下押した。もっとも一部報道で「EUの貿易担当委員が米国と関税問題の解決を巡り協議する」と伝わり、貿易摩擦に対する過度な懸念が後退し下げ幅を取り戻した。またトランプ大統領とプーチン大統領の戦争終結への合意に関する発言が伝わると、リスク志向が改善し1.0429ドルまで上昇し日通し高値を付けた。
 
13日(木)は、1.0400ドルまで上値を伸ばしたものの前日からの上値の重たさが示されたこともあり、1.0386ドルまで下押した。ただ前日に米露大統領による電話会談により、ウクライナ戦争終結への期待からユーロが買われた流れを引き継ぎ強含んだ。15時過ぎには1.0439ドルまで上値を伸ばし、前日高値を更新した。ただ、欧州勢参入後には上値が重たくなり伸び悩んだ。米PPIが強い結果であることが伝わると、一時1.0374ドルまで売りが先行した。もっとも一部報道で「トランプ関税の発動は本日ではなく、4月1日になる可能性もある」との報道を受けて、相互関税に関する警戒感が和らぐとドル売り・ユーロ買いが優勢となり1.0444ドルまで買い戻された。その後トランプ大統領が「相互関税はVATを採用する国などを関税の対象とみなす」としたことでVATを義務付けているEUでは、欧州通貨売りが優勢となった。
 
ユーロ円
10日(月)は、早朝に155.49円まで下押したが、ドル円の上昇や日経平均株価の上昇なども背景に買い戻しが優勢となり、156.81円まで上昇した。ただユーロドルが小幅安となったこともあり、伸び悩み156.65円前後でのもみ合いに終始した。日米中の株価指数が堅調に推移したことで、156.94円まで上値を伸ばした。
 
11日(火)は、トランプ大統領の同盟国を含めた一律関税政策を嫌気し、リスク・オフの円買いが優勢となり156.24円まで下押した。その後は156.62円まで買い戻されたが、上値は重たく156.50円を挟んでもみ合う展開となった。
 
12日(水)は、ドル円の上昇に連れてクロス円が全面高となった。13時過ぎには一時159.30円まで上昇した。その後はやや伸び悩んだものの、欧州勢が参入後は独長期金利の上昇を受けてユーロ買いが優勢となり17時過ぎには159.65円まで上昇した。総じてドル円に連れた動きとなった。
 
13日(木)は、前日に大幅上昇した反動は見られず、ドル円の上昇や日経平均株価の堅調な動きも支えとなり160.66円まで上昇した。その後はやや上値が重たくなるも、ユーロドルの上昇や日経平均株価の堅調な推移が支えとなり161.17円まで強含んだ。その後は、ドル円が伸び悩んだこともあり、ユーロ円も上値が重たくなり160.60円まで下押したが、下値も限定的だった。
 
2月3日 9時00分 ~2月7日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円  USD/JPY  151.57~154.80(円)
ユーロドル EUR/USD   1.0291~1.0465(ドル)
ユーロ円  EUR/JPY  156.24~161.17(円)
ポンドドル GBP/USD   1.2332~1.2567(ドル)
ポンド円  GBP/JPY  187.23~193.04(円)
 
株式
10日(月)は、トランプ大統領の関税政策を巡る懸念から小幅に下げる場面もあったが、決算内容が好感されたマクドナルドが堅調に推移し相場を下支えした。エヌビディアやアマゾン・ドット・コムなど、主力ハイテク株が買われたことも相場の支援材料となった。
 
11日(火)は、トランプ大統領の関税政策を巡る懸念から売りが先行するも、決算内容が好感されたコカ・コーラなど一部主力株に買いが入ると上昇に転じた。「中国のアリババ集団と提携し、同国のスマートフォン向けに人工知能サービスを提供する」と伝わったアップルにも買いが入った。
 
12日(水)は、1月消費者物価指数が市場予想を上回る結果となると、FRBが当面の間、政策金利を据え置くとの見方が強まり、米10年債利回りの上昇とともに売りが出やすかった。株式の相対的な割高感の高まりからの売りもでた。また米国関税を巡り「EUが米国との交渉による解決策を探している」と報じられたほか、「米露首脳はウクライナ停戦開始で合意した」との報道が伝わると下げ渋った。
 
13日(木)は、トランプ米大統領は貿易相手国に対して同水準の関税を課す「相互関税」の導入を指示する大統領令に署名した。ただ、関税の即時発動が見送られたため、インフレや貿易摩擦の過度な懸念は後退し株買いにつながった。ハイテク株比率が高いナスダックでは米10年債利回りの低下を受けて高PERのハイテク株に買いが入りやすかった。

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