【今週のハイライト】米関税政策を巡って中国との対立が深まると、リスク回避の円買いが優勢となった

為替(2025年2月7日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   151.51(円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.0388  (米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   157.41   (円)
ポンド円          GBP/JPY   188.49  (円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.2439  (米ドル)

米ドル円
3日(月)は、トランプ大統領がカナダ・メキシコ・中国に対する追加関税を課す大統領令に署名したことを受けて、米インフレ再燃への懸念からドル買いが優勢となり155.88円まで上値を伸ばした。その後上値がやや重くなり高値を切り下げながら155.28円まで下押すも米10年債利回りの上昇を背景に底堅く推移した。欧米株価指数の軟調な推移を背景としたリスク回避の円買いが優勢となる中、一時プラス圏に浮上した米10年債利回りが再び下げに転じ4.50%付近まで下押した動きに後押しされ、154.01円まで安値を更新した。もっとも米ISM製造業景況指数が予想を上回ると強含みし154.87円まで買い戻された。またトランプ関税による貿易戦争激化への懸念が和らぐと、米10年債利回りも低下も一服すると155.01円まで上昇したものの、戻りは限定的だった。

4日(火)は、カナダ・メキシコの関税発動が1か月間先送りとなったことで、過度な警戒感は和らぎ、高く寄り付いた日経平均株価が上げ幅を拡大するにつれて、155.40円まで上昇した。ただ時間外の米10年債利回りが上昇幅を縮小すると、155.04円まで売り戻されたが底値は固かった。ただ中国が米国への報復関税として「米国からの輸入品に関して10%の関税を課す」と発表したことで、リスクオフの円買いが入り154.82円まで下押した。もっとも底値は固く、米10年債利回りが再び上昇していることで、買戻しが優勢となった。小幅に揉み合っていたが米10年債利回りが低下に転じたうえ、JOLTS求人件数が市場予想よりも弱い内容であることが伝わると、売り圧力が強まった。米10年債利回りが下げ幅を拡大し4.50%台まで低下したことで、154.17円まで下押した。4日安値の154.01円を前に下げ渋ったが、戻りの勢いはなく小幅にもみ合った。

5日(水)は、12月の毎月勤労統計や実質賃金が予想よりも強い結果であることが伝わると、日銀の利上げ観測が高まり円買いが優勢となった。赤沢経済再生相の発言が伝わると、円買いを後押しした。高く寄り付いた日経平均株価がマイナス圏に沈んだことも相場の重しとなり12時台には153.08円まで下押した。もっともその後は日経平均株価が持ち直したこともあり153.57円まで買い戻しが進んだが上値は限定的で、米10年債利回りの低下で再び153.07円まで下押した。ADP全米雇用統計が市場予想を上回ると、一時153.20円まで上値を伸ばしたものの、買戻しが一巡すると再び上値が重たくなった。1月米ISM非製造業景況指数が市場予想を下回ったことで152.11円まで下押し2024年12月以来の安値を更新した。ただ米10年債利回りがわずかながらも持ち直したことで152.76円まで下げ渋った。

6日(木)は、長野県金融経済懇談会で田村日銀審議委員は中立金利について「最低でも1%程度」との見解を示した。また今後の利上げ見通しの見解を示したこと伴い円買いが進み151.81円まで下押した。もっともタカ派として知られている田村審議委員の発言ということもあり、その後は下げ渋った。下値の堅さを確認すると買戻しが優勢となった。上値が重たい展開が続いた。米経済指標の結果が軒並み予想よりも弱い内容だったことが分かると、円買い・ドル売りが先行した。米株式市場も軟調な推移をし、リスク回避の円買いが強くなったことも相場の重しとなった。28時台には151.24円まで下押し、昨年12月12日以来の安値を更新した。

ユーロドル
3日(月)は、トランプ大統領の関税政策によるドル高の流れに沿ったほか、関税対象が欧州へとむけられる懸念もあり、1.0209ドルまで下押した。もっともドル円の上昇とユーロ円の下落に挟まれる形で、大きな方向感は出にくかった。ただ米10年債利回りが上昇していることで、上値は抑えられた。メキシコの関税先送りのニュースが伝わると、市場のリスク回避姿勢が後退した。リスクセンチメントに呼応して2.35%台まで低下が先行していた独10年債利回りは2.41%付近まで切りあがり1.0335ドルまで上昇した。買いが一巡後は売り戻されたが、米10年債利回りが4.53%付近を維持していることもあり、下げは限定的だった。

4日(火)は、早朝に1.0350ドル円まで上昇したが買いの勢いは続かず、ドル円でドル買いが優勢となっていることも重しとなり1.0307ドルまで下押した。その後は1.0315ドルを挟みもみ合いとなったが、トランプ大統領の中国への関税を嫌気してユーロ売りドル買いが強まると1.0271ドルまで下押した。もっとも売り一巡後はユーロ円の買戻しも支えに1.0316ドルまで買い戻された。米10年債利回りが低下したことでユーロ買い・ドル売りが先行した。米JOLTS求人件数が市場様相よりも弱い内容であることが伝わったことも相場の支援材料となり、26時前には1.0387ドルまで上値を伸ばした。買いが一巡後は伸び悩んだが、米10年債利回りが低調に推移していることで高値圏で高止まりした。

5日(水)は、日銀の利上げ観測の高まりから円中心の値動きとなる中で、小幅なレンジでのもみ合いが続いた。ただ15時過ぎからは米10年債利回りが低下したのを眺めながら1.0393ドルまでわずかに上値を広げた。もっともすぐに押し戻されたが、欧州勢が本格参入すると1.0409ドルまで強含んだ。ADP全米雇用統計が市場予想を上回った事を受けて1.0410ドルまで下押したが、米ISM非製造業景況指数が予想を下回ったことでドル売り・ユーロ買いが優勢となり1.0442ドルまで上値を伸ばした。もっとも上値は重たく米10年債利回りが小幅に上昇しいたことで伸び悩んだ。もっとも下値も堅く本日高値圏を推移した。

6日(木)は、1.04ドルを挟んで動意に乏しい展開が続いた。米10年債利回りが4.43%台まで小幅に上昇したことを眺めながら売り圧力が徐々に強まった。欧州時間にBOEによる政策金利の発表を控える中で、ボンドドルが下押したことも相場の重しとなった。時間外の米10年債利回りが小幅に上昇する中で欧州勢が参入するとドル買いがやや強まった。低調な米経済指標が相次いだことでユーロ買い・ドル売りが徐々に優勢となり安値を切り上げた。また一時上昇していた米10年債利回りが再び4.42%台まで低下したことも相場を下支えし、28時前には1.0396ドルまで上値を伸ばし日通し高値を付けた。もっとも買い一巡後は売り戻しも出たが、戻りは限定的だった。

ユーロ円
3日(月)は、トランプ大統領のカナダ・メキシコ・中国への追加関税発動を受けて、当該国の通貨を中心にクロス円が軒並み安となる中でユーロ円も早朝に158.00円まで下押した。一時159.70円まで買い戻されるも上値は抑えられ158.92円まで売り押されたのち、159.20円を中心に小幅にもみ合った。

4日(火)は、早朝に160.46円まで上昇したもののユーロドルが下落につれて上値が重たくなり159.99円まで下押した。その後は全般で方向感が出にくい展開となり160.10円を挟んでもみ合った。その後14時にはトランプ大統領が予定通りに中国からの輸入品に対して10%の関税を発動し中国側も報復関税を発表したことで、貿易戦争懸念からリスクオフの円買いが優勢となり159.16円まで下押した。もっとも売り一巡後はアジア株の下げ渋りを眺めながら、ユーロ円でも買い戻しが優勢となった。

5日(水)は、日経平均株価の上げ幅縮小やドル円の下落につられる形で、売り圧力が強かった。円高基調が高まっている中で、中国Caixinサービス部門PMIが市場予想を下回ったことで豪ドルやオフショア人民元が対円で売られたことにも引きずられ158.92円まで下押した。売り一巡後にはドル円の買戻しや日経平均株価の下げ渋りを確認すると、ユーロ円でも買い戻しが入り17時過ぎには159.53円まで上値を伸ばした。

6日(木)は、日銀審議委員の発言によるドル円の下押しにつられる形で、157.90円まで下押した。ただ売り一巡後には持ち直す動きとなり、158円台を回復すると158.30円まで買い戻された。その後は上値が重たい展開となるも下値も堅く、小幅にもみ合った。ドル円の
小幅な上昇に連れて158.59円まで上昇したが、欧州勢参入後はユーロドルの下落に連れて売り戻された。

2月3日 9時00分 ~2月7日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円 USD/JPY 151.24~155.88(円)
ユーロドル EUR/USD   1.0209~1.0442(ドル)
ユーロ円 EUR/JPY 157.02~160.69(円)
ポンドドル GBP/USD   1.2248~1.2549(ドル)
ポンド円 GBP/JPY 188.05~193.15(円)

株式
3日(月)は、トランプ政権による関税発動が米経済や企業収益に悪影響を与えるとの懸念が高まると、NYダウ平均は一時660ドル超下落した。ただ、メキシコに対する関税発動が1ヶ月延長されることが伝わると買戻しが優勢となり、上昇に転じる場面もあった。

4日(火)は、エヌビディアやアマゾン・ドット・コム、アップルなど、主力ハイテク株が買われたことで、投資家心理が改善し相場を押し上げた。その半面で対中貿易摩擦の激化への懸念から、NYダウ平均は下げる場面もあった。

5日(水)は、米10年債利回りが低下すると株式の相対的な割高感が薄れ、主力株に買いが集まった。決算内容が好感されたアムジェンが堅調に推移し、1銘柄でNYダウ平均を123ドル程度押し上げた。

6日(木)は、7日に米雇用統計が控えていることもありポジション調整目的の売りが出た。決算内容が嫌気されたハネウェル・インターナショナルが5パーセント近く下げたことも相場の重しとなった。一方でハイテク株比率が高いナスダックでは3日続伸した。

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