【今週のハイライト】米関税政策による貿易摩擦の激化が懸念され、NYダウ平均は大幅に下落した

為替(2025年3月14日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   147.73(円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.0850 (米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   160.32   (円)
ポンド円          GBP/JPY   191.31  (円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.2946  (米ドル)

 
米ドル円
10日(月)は、日本10年債利回りの上昇や時間外のダウ先物の下落を手掛かりに、売りが先行した。一時147.09円まで下押したが、前週末安値の146.94円が目先のサポートとして意識されると売りは一服した。米10年債利回りが低下幅を縮小したことで一転して買いが優勢となり、147.79円まで上値を伸ばした。その後は147.50円まで売り戻されたものの下値も堅くレンジ内のもみ合いとなった。トランプ政権による関税政策などを背景に米景気懸念が一段と高まると、米国株相場が大幅に下落した。それに伴い、リスク回避の円買いが優勢となり146.63円まで下押した。ただ売り一巡後にはショートカバーが入り買戻しが優勢となり、147.46円まで上値を伸ばした。対資源国通貨でドル買いが進んだことも相場を下支えした。
 
11日(火)は、日経平均株価の大幅下落や米10年債利回りの低下に伴い売りが先行した。10時前には146.54円まで下押したが、日経平均株価が下げ幅を縮小した事もあり、ドル円も買戻しが優勢となり13時過ぎには147.40円まで上値を伸ばした。その後は対ユーロなどでドル売りが進んだ影響を受け再び146.76円まで売り戻された。米JOLTS求人件数が市場予想を上回った事で全般でドル買いが先行し148.12円まで上昇した。ただ、トランプ大統領がカナダの鉄鋼・アルミニウムに対しての関税を25%から50%に引き上げるように商務長官に指示したと明らかになると、米国株式相場が下落しリスク回避の円買いが優勢となり、147.02円まで下押した。もっともトランプ米大統領が「カナダへの50%関税を取り下げる可能背を検討」と発言すると買い戻され147.91円まで下げ渋った。
 
12日(水)は、前日からのドル買いの流れを引き継ぎ買いが先行し、東京仲値にかけて148.15円まで上値を伸ばした。もっとも買い一巡後は147.84円まで売り戻されるなど積極的に上値を試す展開とはならなかった。ただ下値も堅く、米政府が鉄鋼・アルミ関税を例外なく予定通りに発動したことで、ややドル買いが優勢となった。植田日銀総裁は「基本的な物価上昇率は現時点ではまだ2%を下回っている。」「海外の経済・物価動向を巡る不確実性を非常に心配している」と発言した。米消費者物価指数が市場予想を下回ったことで148.13円まで下押したものの欧州株相場や日経平均先物の上昇を支えに149.19円まで買い戻された。ただ、買い一巡後には上値が重たくなった。米政権による関税政策を巡り、米景気懸念が一段と高まる中でNYダウ平均が420ドル超下落すると売りが優勢となり148.10円まで売り戻された。
 
13日(木)は、148.37円まで上昇して始まったが、日経平均株価が上げ幅を縮小したこともあり、上値が重たい展開となった。もっとも下値も堅く148円台前半でもみ合う展開となった。ただ植田日銀総裁の発言をきっかけに日銀の追加利上げ観測が高まり、日本10年債利回りの上昇とともに円買いが進み147.57円まで下押した。ただ、米10年債利回りの下げ幅縮小に伴うドル買いが目立つと147.94円まで下げ渋った。米労働省が発表した米卸売物価指数が市場予想を下回ったことで、円買い・ドル売りで反応する場面もあったが反応は一時的で、米消費者物価指数の下振れと同様に「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米10年債利回りの上昇とともに148.35円まで上値を伸ばした。ただ、米関税政策による世界景気の懸念が高まる中で、NYダウ平均が大幅に下落するとリスク回避の円買いが活発化した。26時台には147.41円まで下押した。
 
ユーロドル
10日(月)は、時間外の米10年債利回りが低下して始まったこともありドル売りが優勢となり、10時過ぎには1.0870ドルまで上値を伸ばした。もっともその後は、米10年債利回りが下げ幅を縮小したことやドル円が上昇に転じたこともあり、ドル買いが優勢となり1.0827ドルまで下押した。その後は1.0844ドルまで買い戻されるも限定的で欧州勢参入後は売りに押され1.0810ドルまで売られた。欧州市場ではユーロ買いが優勢となり一時1.0874ドルと日通し高値を付けたものの、NY市場では上値が重たく伸び悩んだ。ドイツの「緑の党」がキリスト教民主・社会同盟などが提示した債務抑制策などについて「現状のままでは支持しない」との方針を示したことで、独DAXが一時2%超下落した。それに伴いユーロ相場の重しとなり、1.0811ドルまで下押す場面も見られた。
 
11日(火)は、米10年債利回りの低下を背景にした買いが先行した。一時1.0861ドルまで上値を伸ばしたが、米10年債利回りの下げ幅縮小もあり、1.0835ドルまで売り戻された。その後はドイツ「緑の党」の共同代表が「防衛費を巡る週内の合意を期待」との見解を示すと、独財政拡大策を巡る交渉への期待感からユーロ買いが優勢となり1.0901ドルまで上値を伸ばした。ドイツの「緑の党」の共同代表が「防衛費をめぐって交渉の用意がある。週内にも合意の可能性がある」との見解を示すと独財政拡大策を巡る交渉成立への期待感からユーロ買いが進んだ。またウクライナが「米国提案のロシアとの停戦を受け入れる用意がある」と発表し、米国も情報居王勇人安全保障の支援を即時再開するとしたことで、ウクライナ情勢を巡る懸念が和らぎ相場を下支えした。
 
12日(水)は、対円でドル買いが進んだことなどを背景にじり安に推移した。時間外の米10年債利回りがやや低下気味に推移したが、相場への影響は限定的だった。16時過ぎには一時1.0887ドルまで下押したものの、欧州勢参入後にはユーロの買戻しが優勢となり1.0902ドルまで上昇し大きな方向感は出なかった。ウクライナ情勢を巡る懸念が後退する中で、欧州株相場の上昇とともにユーロ買い・ドル売りが先行した。米消費者物価指数が市場予想を下回った事で、ドル売りを後押しし1.0930ドルまで上値を伸ばした。ただ欧米の貿易摩擦を懸念し上値が重たくなり、1.0879ドルまで売り戻された。
 
13日(木)は、12時前までに1.0896ドルまで上昇したものの、1.0881ドルまで下げ渋るなど、方向感なくもみ合った。ただ植田日銀総裁の発言をきっかけにユーロ円が下落すると、それにつられる形で、1.0859ドルまで下押した。米10年債利回りの下げ幅縮小に伴うドル買いも相場の重しとなった。トランプ大統領がEUから輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを表明したことや「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけに、ユーロ売り・ドル買いが先行し、1.0822ドルまで売りに押された。ただ売り一巡後は買戻しが優勢となり、1.0877ドルまで買い戻された。ベッセント財務長官の発言や米10年債利回りが低下に転じた事が相場を下支えした。もっとも米関税政策への警戒感やウクライナ情勢の不透明感は根強く、戻りは限定的だった。
 
ユーロ円
10日(月)は、ドル円の下落につれる形で159.77円まで下押した。もっともドル円が切り返し上昇に転じたことで下値は限定的だった。ドル円の上昇とユーロドルの下落に挟まれる形で方向感なく、レンジ内でのもみ合いとなった。16時過ぎには160.22円まで上昇したものの、欧州勢がユーロ売りで参入したことから159.53円まで下押した。
 
11日(火)は、日経平均株価の大幅下落をきっかけに円買いが優勢となり、158.96円まで下押した。その後はドル円の買戻しにつられる形で、159.82円まで買戻しが進んだ。その後は調整の戻しで159.42円まで下押したが、独「緑の党」共同代表の発言から、独財政拡大策を巡る期待感から、ユーロ買いが優勢となり、160.17円まで上値を伸ばした。
 
12日(水)は、ドル円の上昇とユーロドルの下落の影響を同時に受けたことで、161.40円前後で揉み合い方向感を欠く展開となった。ウクライナ情勢を巡る懸念が後退したことでリスクオフが和らいだことやドル円が上昇した事も背景に、162.00円まで上値を伸ばした。
 
13日(木)は、161.26円から161.50円の小幅なレンジ内でもみ合う展開となった。もっとも植田日銀総裁の発言をきっかけに、日銀の追加利上げ観測が高まると円買いが優勢となり160.52円まで下押した。売り一巡後には、ドル円の反発もあり160.86円まで下げ渋ったものの上値は重たく、再び売り戻された。
 
3月10日 9時00分 ~3月14日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円  USD/JPY  146.54~149.19(円)
ユーロドル EUR/USD   1.0804~1.0946(ドル)
ユーロ円  EUR/JPY  158.87~162.34(円)
ポンドドル GBP/USD   1.2860~1.2987(ドル)
ポンド円  GBP/JPY  188.78~193.09(円)
 
株式
10日(月)は、米関税政策を巡る先行き不透明感から米景気への懸念が高まると、株売りが進んだ。トランプ米大統領が各種政策に伴って景気後退に陥る時期がありうることを示唆したことも投資家心理の悪化につながった。ハイテク株比率が高いナスダックでは電気自動車のテスラが15%超下落した。
 
11日(火)は、米関税政策を巡る不透明感を背景に米景気の先行き懸念が一段と高まると、幅広い銘柄に売りが先行した。NYダウ平均は一時730ドル超下落した。ただ、ウクライナとロシアの停戦交渉が進むとの期待から買戻しが入ると下げ幅を縮めた。
 
12日(水)は、米消費者物価指数が市場予想を下回ったことが好感され買いが先行すると、NYダウ平均は一時280ドル超上昇した。ただ、買いの勢いは続かずすぐに失速した。トランプ政権が鉄鋼・アルミニウム関連の輸入品に25%の関税を発動したことで、EUとカナダは報復関税を発表した。世界的な貿易戦争が激化するとの懸念から、売りが優勢となりNYダウ平均は420ドル超の下落となった。
 
13日(木)は、トランプ米政権の関税政策を背景に激化する貿易摩擦が景気の悪化を招くとの懸念からリスク回避の売りが優勢なった。ウクライナ情勢の不透明感も投資家心理を悪化させ、NYダウ平均は一時680ドル超下落した。
 

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