長期金利上昇から米ドル円は高値圏で推移

2022/04/08 7:38 JST投稿



【米国】
為替(4月8日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 123.91-123.98 (円)
ユーロ円(EURJPY) 134.77-134.92 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0875-1.0881 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 161.99-162.13 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3074-1.3078 (米ドル)

4月7日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、朝方に発表された先週の米新規失業保険申請件数(結果:16.6万件、予想:20.0万件、前回:20.2万件)だ。予想を超える減少で、1968年11月以来、54年ぶりの低水準となり、良好な結果から高インフレ維持の一因と懸念された。この結果を受け、長期金利は一時2.67%と2019年3月以来の高水準となっている。

ウクライナ情勢関連の動きでは、国連総会の緊急特別会合で、ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、国連人権理事会でのロシアの理事国の資格を停止する決議が採択された。ロシアやベラルーシなど24か国が反対、58か国が棄権したが、過半数の93か国の賛成によって決まった。理事国の資格停止処分は、市民への弾圧を続けていた2011年のカダフィ政権下のリビア以来の二度目。また、先進7カ国(G7)の首脳声明では「ロシア軍による恐るべき残虐行為」だとして強く非難し、「大量殺りく」との表現が盛り込まれた。さらに、各国が協調しロシアに追加制裁を科す方針を表明すると共に、戦争犯罪追及に取り組むことを支持した。

なお、注目のイベントは4月10日にフランス大統領選の第1回投票だ。現職のマクロン大統領が優勢だったが、雲行きが怪しくなってきた。エリートに対する反発からルペン氏が追い上げている上、フランス検察が4月6日に脱税などの疑いで米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーの仏法人に対する捜査を3月31日に開始したと発表された。マッキンゼーは、現政権から巨額の受注を獲得してきた企業として注目されている。第1回投票で過半数を得る候補がいない場合は、4月24日に上位2人で決選投票が行われる。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された良好な新規失業保険申請件数結果から123.98円まで買われたが、小幅に値を下げた。その後、長期金利が上昇すると再び米ドル買いが優勢となり、この日の高値124.00円まで値を上げ堅調に推移し終値は123.95円だった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州時間に3月10日の欧州中央銀行(ECB)理事会の議事録が公表され、積極的な金融政策への移行に向けたタカ派的な内容が確認でき影響された。「多くのメンバーが現在のインフレ率は非常に高いと認識している」「金融政策正常化に向けたさらなる措置が即座に必要となる」との見解が示された。高インフレに向け積極的に金融政策を推し進めるとの観測が強まり、この日の高値1.0938ドルを付けた。その後は、ウクライナ情勢の懸念から、徐々に値を下げた。米長期金利状況の影響も強く終値は1.0879ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの上昇につられ、この日の高値135.50円を付けたが、徐々に値を下げ、134.73円まで値を下げた。その後は小幅に値を戻し、134.83円で終えた。


株式

NYダウ平均 USD 34,583.57 +87.06 (+0.25%)
NASDAQ総合  USD 13,897.300 +8.483 (+0.06%)
S&P500     USD  4,500.21 +19.06(+0.42%)

4月7日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を3日ぶりに上回った。前日に発表された3月のFOMCの議事要旨が公表され、早期の利上げ観測が見られるとの思いから売りが優勢となった。一時、前日の終値を305ドルほど下回る場面もあったが、昼過ぎに景気に左右されにくいディフェンシブ株が買われ、小幅に前日の終値を上回り終えた。


債券

米国債10年 2.659(+0.060%)


商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 96.03 -0.20(-0.21%)(5月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,937.8 +14.7(+0.76%)(6月渡し)



【日本】大きな動き無く方向性に欠ける
為替(17時)

4月7日の東京外国為替市場は、大きな動きはなく方向性が乏しい展開となった。

米ドル・円は、新年度の国内輸入企業の決済に向けた買いが入った以外は、大きな動きにつながるものはなかった。123円後半での取引中心となり、欧州勢参加後に小幅に値を上げ17時時点では123.76円となった。

ユーロ・米ドルは、朝方から米長期金利上昇を受けたユーロ買いが優勢だったが、欧州勢参加後に米長期金利の低下が意識されると値が下がり始めた。17時時点では1.0898ドルだった。

ユーロ・円は、株価の低下を受け小幅に値を下げると、反動で小幅に買いが入った。欧州勢参加後に買いが高まりこの日の高値135.21円となったが、すぐにウクライナ情勢による景気悪化が懸念され17時時点では134.88円で取引された。


日本株式

日経平均株価 26,888.57円 -461.73(-1.69%)
安値26,801.79円  -  高値 27,042.49円
東証出来高 1,188,11万株
東証売買代金 2兆8624.55億円
 
4月7日の日経平均株価は連日で前日の終値を大幅に下回った。FOMCの議事録が公表され早期の利上げ観測が見受けられると米国市場で3指数揃って下落した影響を受け、幅広い銘柄で売りが拡がった。特に米長期金利の上昇を受けた高い株価収益率(PER)の銘柄が安くなっている。前日の終値を下回って終日で取引され、取引開始から心理的な境目の27,000円を下回り、そのまま低い水準で終えた。


短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.006%


債券

国債先物・22年6月限 149.47(+0.22)
10年長期金利 0.230%(-0.005) 



【マーケットアナリティクス】豪ドル・米ドルは、重要な短期的サポートまで下落(4月7日)
豪ドル・米ドル(AUDUSD)は欧州時間に0.3%下落し、強気(ブル)の勢いは終わったようで0.7480付近で取引された。

オーストラリア時間に発表された2月の国内貿易収支は、1月の11,786百万豪ドルから7,457百万豪ドルに顕著に悪化した。輸出は6%から0%に減少し、輸入は前回の-2%から12%に増加した。

今週、オーストラリア中央銀行による金融政策決定を受け豪ドルが大きく上昇した後、トレーダーもある程度の利益を確保している。

豪ドルがかなりの安値圏に入っており続いていた上昇は終わりそうだ。おそらく、一部の投資家が利益確定に流れたものと思われる。さらに、日足チャートのMACD指標※は、弱気(ベア)シグナルを発し、おそらく短期的な調整を開始する一助となった。

現在0.74650ゾーンにある短期的な安値を試そうとしている。このレベルを下回ると、売りが優勢となり、0.7420もしくは0.7370まで引きずられる可能性がある。

一方、短期的な見通しを強気に戻すには、豪ドルが0.7540より上に戻らなければならない。その場合、0.7650付近の実際のサイクル高値に向けて一気に上昇する可能性がある。

※ MACD(マックディ)指標:「Moving Average Convergence Divergence」の略。相場の分析において過去の値動きから将来の値動きを予想するテクニカル分析の手法の一つ。 一定期間の平均値を線でつなぎ合わせた移動平均線を用い、価格の推移をグラフ化し短期と中長期の移動平均線の動きから早期の売買タイミングを判断するのに用いられる。



豪ドル・米ドル、デイリーチャート 4月7日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “AUDUSD Falls to Significant Short-term Support” (2022年4月7日, AXIORY Global Market News)

追記:4月8日、日本時間6:00の豪ドル・米ドルは0.7479-0.7481ドルで取引されている
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