【今週のハイライト】石破氏が新首相に就任後の会見で、ハト派発言をしたことで円売りが急伸した

為替(2024年10月4日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   146.90 (円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.1029  (米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   162.06   (円)
ポンド円          GBP/JPY   192.82  (円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.3123  (米ドル)

 
米ドル円
30日(月)は、先週末の自民党総裁選を受けての暴落の反動から、早朝に買い戻しが入ったものの、142.94円を戻り高値に一服した。日経平均株価が大幅安で始まったこともあり、東京市場オープン後にはリスク・オフの円買いが進行し15時前には141.65円まで下押した。ただ、売り一巡後は時間外の米10年債利回りが上昇したことや、売りが続いた反動もあり買い戻しが優勢となり引けまでに142.42円まで上値を伸ばした。先週金曜日から売りが続いていた反動から、ショートカバーが優勢となった。米シカゴ購買部協会景気指数が予想を上回るとさらにドル買いが進み、27時台には143.90円まで上値を伸ばした。ただ、ボスティック米アトランタ連銀総裁やグールズビー米シカゴ連銀総裁が複数回の利下げを示唆する発言をすると伸び悩んだ。ただ、パウエルFRB議長がややタカ派寄りの発言した事もあり、下値は限定的だった。
 
1日(火)は、イスラエルを巡る地政学的リスクを意識最多売りが入る場面もあったが、9月日銀短観が概ね良好な内容だったほか、日銀金融政策決定会合議事要旨にて、改めて利上げを急いでいない姿勢が確認されると、日経平均株価の大幅反発も後押しに16時前までに堅調に推移した。ただ、その後は米10年債利回りが低下に転じたことに伴い失速した。日経平均先物の売り先行も重しとなり、一時143.87円付近まで下押した。石破茂新首相が1日夜に首相就任後初めての記者会見でハト派な姿勢を示すと、円売り・ドル買いが先行し、22時過ぎには144.07円まで上値を伸ばした。ただ、中東の地政学リスクが意識されて米国株相場が軟調に推移し、米10年債利回りも大幅に低下し、為替市場ではリスク回避の円買いが優勢となった。23時台には142.96円まで下値を広げ日通し安値を更新したが、イランのミサイル攻撃が完了したことが伝わると、リスク回避の円買いは一服した。
 
2日(水)は、日経平均株価が600円超安と中東情勢への警戒感が続いていることもあり上値が重たいものの、規制緩和を好感した中国の不動産株指数急騰や香港株の堅調さが支えとなり、じり高に推移し13時前には144.18円まで上値を伸ばした。ただ、その後は「イスラエルが数日以内に重大な報復を計画」との一部報道が伝わると、日経平均株価が900円超下落したことに連れて、143.52円まで下押した。売りが一巡後は米10年債利回りの上昇も支えに再び144.18円まで上値を伸ばした。石破首相が植田日銀総裁との会談後に行った発言をきっかけに全般で円売りが進行した。またADP全米雇用報告が予想を上回った事が伝わると、米10年債利回りの上昇とともにドル買いが活発化し一時146.50円まで上値を伸ばし日通し高値を付けた。なお、バーキン米リッチモンド連銀総裁は「経済が予想通りに進展すれば、今年さらに2回の0.25%の利下げは合理的な道筋と見ている」と語った。
 
3日(木)は、前日の石破首相の発言以降の円売りが継続し、147.24円まで上値を伸ばした。ただ、147円台では利益確定目的の売りも見られ、上値が重たくなった。午後には野口日銀審議委員が「ゆっくりとした緩和調整が必要だ」と述べると146.46円まで弱含んだ。一時146.85円まで持ち直すも、「本邦輸出企業からのドル売りが断続的に持ち込まれた」との声も聞かれ、146.29円まで下押した。9月米ISM非製造業景況指数が予想を上回った事がわかると、円売り・ドル買いが先行し、23時過ぎに一時147.18円付近まで値を上げた。ただ、日本時間に付けた日通し高値147.24円が目先のレジスタンスとして意識されると伸び悩んだが下値も堅く揉み合いが続いた。中東情勢が不透明な中で状況を見極めたい向きが多かった。
 
ユーロドル
30日(月)は、全般で円主導の相場となる中で、ユーロ円の失速もありやや上値が重たい状態が続いた。1.1155ドルから1.1173ドルの狭いレンジでの上下となり大きな方向感は出なかった。15時台に1.1155ドルの底堅さを確認すると、欧州勢の本格参入とともにじり高となり、引けまでに1.1166まで上値を伸ばし午前中高値を上抜けた。ラガルドECB総裁が「最近の物価目標はインフレ率が速やかに目標に戻るという我々の確信を強めるものだ」「次回理事会でこれを考慮する」と述べ、追加利下げに含みを持たせると前半ユーロ売りが先行した。月末のロンドンフィキシングに絡んだユーロ売り・ドル買いのフローも観測され、1.1113ドルの日通し安値を付けた。
 
1日(火)は、日経平均株価の大幅な反発による円がらみの取引が主体となる中で、方向感なく小幅な値動きでもみ合った。欧州勢がユーロ売りで参入すると前日安値の1.1114ドルを下抜けて、17時過ぎには1.1101ドルまで下押し日通し安値を付けた。仏・独・ユーロの製造業購買担当者景気指数改定値は総じて上昇修正されたものの、相場の反応は限定的だった。前日のラガルドECB総裁に続きレーン・フィンランド中銀総裁が「10月会合での利下げの根拠は増した」と述べ、追加利下げに含みを持たせたことから、ニューヨーク市場でもユーロ売りが出やすかった。中東情勢の緊迫化を受けてリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが強まると、一時1.1045ドルの日通し安値を付けた。
 
2日(水)は、ECBの10月会合での追加利下げの思惑が強まっていることで、上値が重たい状態が続いた。中東情勢の緊迫化を受けて1.1054ドルまで下値を広げた。デギンドスECB副総裁が「成長リスクは引き続き下振れ方向」との発言も伝わり1.1067ドル近辺まで持ち直し、揉み合いが続いた。良好な米雇用指標を受けてユーロ売り・ドル買いが先行した。前日安値の1.1046ドルを下抜けると、一時1.1032ドルまで下げ足を速めた。また米10年債利回りが3.81%台まで上昇したことも相場の重しとなった。
 
3日(木)は、対円でのドル上昇とユーロ円の下押しも影響し、1.1024ドルまで値を下げた。米10年債利回りが3.79%台で高止まりしていることも相場の重しとなった。その後はドル円の下落に伴い、ドル売りが優勢となり1.1041ドルまで買い戻されたが、上値は重たく再び1.1027ドルまで売られた。米ISM非製造業景況指数の上振れをきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行すると、23時台には一時1.1007ドルまで下押し日通し安値を付けた。ただ、節目の1.1000ドルがサポートとして意識されると1.1035ドルまで下げ渋った。上値が重たい状態が続いており、引けにかけては揉み合った。
 
ユーロ円
30日(月)は、日経平均株価の大幅安もあり上値が重たくじり安に推移した。ドル円の下落に下値を徐々に広げ、15時台には158.08円の日通し安値を付けた。もっとも、売り一巡後は買い戻しが優勢となった。欧州株は弱含みでのスタートだったが、この日も上海総合が大幅高で終えたことも支援材料となり、17時までに159.10円まで買い戻しが進んだ。
 
1日(火)は、日経平均株価が600円超高まで反発し、リスク選好の円売りが優勢となるなか、ドル円の上昇につられて、160.44円まで上昇した。買い一巡後は160.02円まで下押すも節目の160円がサポートとして意識されると、再び買いが優勢となり15時台には160.89円まで上値を伸ばした。ただ、欧州勢がユーロ売りで参入すると、上値を切り下げる展開となった。ドル円の失速も相場の重しとなり、17時過ぎには159.61円まで下値を広げた。
 
2日(水)は、中東の地政学リスクを背景としたリスク・オフの円買いはいったん落着き、13時前には159.61円まで買い戻しが優勢となった。ただ、中東情勢の緊迫化を受けて一時158.69円まで下押した。その後は、欧州株が総じて底堅く推移するのを眺めて上値を試す展開となった。17時前には159.61円まで上値を伸ばし午前中高値に面合わせした。石破首相が日銀追加利上げについて慎重な姿勢を示すと全般で円安が進んだ。米株相場の持ち直しや日経平均先物の大幅上昇も相場の支援材料となり、一時161.88円まで上値を伸ばした。
 
3日(木)は、ドル円の動向にともなう円相場の振れに沿った推移となった。162.48円まで上昇後は上値が重たくなった。野口日銀審議委員の段階的な利上げについての発言があると、161.52円まで下押した。売りが一巡後は162.05円まで買い戻されるも、欧州株のマイナス推移や日米・株価指数先物の弱含みを確認すると、161.35円まで下押した。ドル円同様にニューヨーク市場では方向感に乏しい展開となった。中東の地政学リスクの高まりを受けて米国株が下落すると、円買いユーロ売りが先行した。
 
9月30日 9時00分 ~10月4日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円  USD/JPY  141.65~147.24(円)
ユーロドル EUR/USD   1.1007~1.1208(ドル)
ユーロ円  EUR/JPY  158.08~162.48(円)
ポンドドル GBP/USD   1.3089~1.3422(ドル)
ポンド円  GBP/JPY  189.55~195.15(円)
 
株式
30日(月)は、NYダウ平均やS&P500で史上最高値を更新した。パウエルFRB議長の発言を受けて、追加の大幅利下げ観測が後退すると売りが強まり、一時380ドル超下落した。ただ、米景気への楽観が続く中で、引けにかけては月末に絡んだ買いが入り上昇に転じた。ハイテク株比率が高いナスダックでは、反発し上昇した。
 
1日(火)は、イスラエルとイランを巡る中東情勢の緊張が高まる中で、投資家がリスク回避の姿勢を強めた。ハイテク関連株や景気敏感株を中心に売りが集まり、NYダウ平均は一時380ドル超下落した。ハイテク株比率が高いナスダックでは、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などが値下がりし、相場の重しとなった。
 
2日(水)は、イスラエルとイランを巡る中東の地政学リスクへの懸念が相場の重しとなり、NYダウ平均は続落で始まった。ただ、9月米ADP雇用報告が予想を上回る結果であることが伝わり米労働市場の底堅さを確認すると、徐々に買戻しが優勢となった。ハイテク株比率が高いナスダックも小幅に反発した。
 
3日(木)は、イランによるミサイル攻撃を受けたイスラエルが近く報復攻撃をするとの観測が高まる中、中東情勢が一段と悪化するとの警戒から売りが出た。「石油施設を攻撃する」との報道を受けて、WTI原油先物相場が急騰したことも投資家心理を冷やした。ハイテク株比率がたかいナスダックは小幅ながら反落した。

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