【今週のハイライト】日銀早期利上げ観測の高まりを受けて、全般で円買いが優勢となった

為替(2025年3月7日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   147.80円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.0785  (米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   159.42   (円)
ポンド円          GBP/JPY   190.34  (円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.2877  (米ドル)

 
米ドル円
3日(月)は、早朝に151.02円まで上値を伸ばしたものの対欧州通貨でのドル売りが重しとなり伸び悩んだ。大幅に上昇して始まった日系平均株価が上げ幅を縮小したことも重しとなり150.24円まで下押した。日経平均株価が後場に入ると上昇幅を拡大したことで、円売りが優勢となり150円台半ばまで買い戻されたが、上値は重たく伸び悩んだ。米10年債利回りが上昇したことやダウ先物も堅調に推移していることで、買いが先行し151.30円まで上値を伸ばした。もっとも米ISM製造業景況指数の下振れで一転して売りが優勢となった。米10年債利回りも大幅に低下したことで相場の重しとなった。引け前には米10年債利回りが4.14%台まで低下し149.09円まで下げ幅を拡大し日通し安値を更新した。
 
4日(火)は、トランプ米政権がウクライナへの現行の軍事支援を全て停止するとの一部報道を受けてリスク回避の円買いが先行し148.59円まで下押した。もっとも2月25日の安値148.57円がサポートとして意識されると一転して買いが優勢となった。米10年債利回りが徐々に上昇したことも相場を下支えした。アメリカがカナダ・メキシコへの関税措置を本日予定通りに発動したことで、やや不安定な相場となったが149.58円まで上値を伸ばした。米10年債利回りが4.10%台まで低下したほか、日欧米株価が一段と下落したことで円買い・ドル売りが優勢となり、148.09円まで下値を広げた。ただ節目の148円が目先のサポートとして意識されると下げ渋った。その後は米10年債利回りが4.22%まで上昇したことで、一転してドル買い・円売りが優勢となり149.52円まで上値を伸ばした。
 
5日(水)は、時間外の米株先物の上昇も支えに強含みし150.18円まで上値を伸ばした。内田日銀副総裁の講演内容が伝わり、条件付きながら追加利上げについて言及し、本邦長期金利が上昇した事が重しとなった。なおトランプ大統領や内田日銀副総裁の発言も伝わったが、相場への影響は限定的だった。その後は対ユーロでのドル売りに押される形で149.41円まで下押した。米10年債利回りが低下したほか「米国はウクライナとの情報共有を打ち切った」との一部報道を受けて149.15円まで下押した。ただ、ウクライナは「米国との情報共有は依然続いている」と報道を否定したことや、ウォルツ米大統領補佐官も「トランプ大統領は交渉が確定すればウクライナ支援の一時停止を解除する」としたことで149.74円まで買い戻された。ただ、ADP雇用統計が予想を下振れる結果となると、全般でドル売りが優勢となり148.39円まで下げ幅を拡大した。ただISM非製造業景況指数が予想を上回ると下げ渋った。
 
6日(木)は、高く寄り付いた日経平均株価が一時400円超高まで上昇したことで、仲値にかけて149.33円まで上値を伸ばした。買い一巡後は148.94円まで下押したが米10年債利回りが上昇幅を広げ日経平均株価も底堅く推移していることから再び149.31円まで買い戻された。もっとも午前中高値を前に上値が重たくなると伸び悩んだ。また「連合傘下労組が要求した今年の春闘での平均賃上げ率が6%超え」との報道を受けて日銀の早期利上げ観測が高まり、148.26円まで下値を広げた。日銀の早期利上げ観測が高まる中でドル売り・円買いが優勢だった。連邦政府職員の解雇によりチャレンジャー人員削減予定数が前年比で+103.2%だったことも相場の重しとなった。一時147.31円まで下押したものの、売り一巡後はショートカバーが入り148.39円まで下げ渋った。ラトニック米商務長官の発言も相場を下支えした。もっとも米株式市場が軟調に推移していることもあり、上値は重たかった。
 
ユーロドル
3日(月)は、ウクライナ情勢を巡る過度な警戒感の後退を背景とした買いが先行した。もっとも時間外の米10年債利回りが上昇していることが重しとなり、1.0422ドルを頭にして上値が抑えられた。欧州勢が参入すると東京市場での買いの反動から、調整の売りが優勢となり1.0401ドルまで売り戻された。ドイツ10年債利回りが2.5%台に上昇し、仏英首脳がウクライナ戦争の1か月間の部分的な停戦を提案したことなどで、ユーロ買いが優勢となった。ウクライナ戦争への過度な警戒感が後退する中で、米ISM製造業景況指数が市場予想を下回った事もドル売りを促し、24時台には1.0503ドルの日通し高値を付けた。もっとも急な上昇だったことから調整の売りも入りやすく伸び悩んだ。
 
4日(火)は、米政権がウクライナ軍事支援を停止するとの報道を受けて1.0476ドルまで売りが先行したが、時間外の米10年債利回りが低下したことを背景に1.0495ドルまで上値を伸ばした。ただドル円が一転して買い優勢となると、ユーロドルもドル買いが優勢となり1.0470ドルまだじり安に推移した。ただ下値も堅く、欧州勢が参入すると買いが優勢となり1.0500ドルまで上値を伸ばした。フォンデアライエン欧州委員長が提案した8,000億ユーロ規模の欧州再軍備などを好感して、一時1.0559ドルまで上昇し年初来高値を更新した。買い一巡後は独DAXが3%超下落するなど、欧州株相場が軟調に推移した事が相場の重しとなり1.0496ドルまで下押した。ただ「ドイツが防衛費増額に向けて債務ブレーキを改革する」との一部報道で強含みし1.0623まで上値を伸ばした。
 
5日(水)は、早朝に1.0636ドルまで上値を伸ばしたが、買い一服後はドル円の上昇を眺めながら、じり安に推移した。12時過ぎには1.0601ドルまで下押したが、米10年債利回りが4.23%台まで低下したことなどから、ドル売り・ユーロ買いが優勢となった。またトランプ大統領のウクライナ情勢を巡る発言が好感されたほか、独財政が拡張的になるとの見方から独10年債利回りが上昇し、ユーロ買いを支えた。17時までに1.0676ドルまで上値を伸ばした。米10年債利回りが低下し、独10年債利回りが上昇したことで、ユーロ買い・ドル売りが優勢となった。米ADP雇用統計が市場予想を下回ったことで、全般でドル売りが優勢となったことも相場を下支えした。1.0768ドルまで上値を伸ばした後はやや伸び悩んだものの売り戻しは限定的だった。
 
6日(木)は、前日からの上昇の流れを引き継ぎ11時前には1.0819ドルまで上値を伸ばした。もっとも買い一巡後は米10年債利回りの上昇も相場の重しとなり、1.0783ドルまで売り戻された。もっとも下値も堅く再び1.081ドル台を回復するも、ユーロ円の下落も重しとなり伸び悩み方向感が出にくかった。ECBが市場予想通りに政策金利を0.25%引き下げることを決定し「ディスインフレは順調に進んでいる」と声明を発表した。ラガルドECB総裁が「インフレの2%目標は2026年の極めて早い段階で達成」と話したことなどで、一時1.0852ドルまで高値を更新した。ただ、買い一巡後には売りが優勢となった。特別な売り材料はないものの、連日の上昇に対する調整もあってか、1.0765ドルまで売られた。
 
ユーロ円
3日(月)は、ドル円とユーロドルの上昇に後押しされる形で、早朝に157.29円まで強含みした。ただ、その後はドル円の失速につられる形で売りが優勢となり12時台には156.43円まで売り戻された。後場に入ると日経平均株価が上昇幅を拡大したことも背景に買戻しが入り156.81円まで上値を伸ばしたもののユーロドルの調整の売りに押される形で伸び悩み156.23円まで売り戻された。
 
4日(火)は、ウクライナ情勢への懸念や株安を背景としたリスク回避の円買いが優勢となり、155.92円まで売りが先行した。ただ一巡後にはドル円と同様に反発上昇し156.60円まで買い戻された。その後は午前中高値を前に伸び悩むも売り一巡後には156.89円まで上値を伸ばした。
 
5日(水)は、早朝に159.50円まで上昇したものの、上昇して始まった日経平均株価がマイナス圏に沈んだことも重しとなり158.72円まで売り押された。その後は159.10円を挟んでレンジ内でのもみ合いとなったが、欧州時間になると全般でユーロ高となった流れに沿って159.63円まで強含みした。
 
6日(木)は、上げ幅を拡大した日経平均株価を眺め161.23円まで上値を伸ばした。その後はユーロドルの下落につられる場面もあったが、14時前には再び161.22円まで上昇した。ただ日銀の早期利上げ観測が高まったことで、全般で円買いが進行しユーロ円も160.19円まで下値を拡大した。
 
3月3日 9時00分 ~3月7日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円  USD/JPY  147.31~150.18(円)
ユーロドル EUR/USD   1.0388~1.0853(ドル)
ユーロ円  EUR/JPY  155.58~161.26(円)
ポンドドル GBP/USD   1.2581~1.2923(ドル)
ポンド円  GBP/JPY  188.23~192.54(円)
 
株式
3日(月)は、エヌビディアの大幅下落や米ISM製造業景況指数の下振れが投資家心理の悪化につながった。トランプ米政権の関税政策が経済に与える悪影響も懸念されて、NYダウ平均は一時920ドル超下落した。
 
4日(火)は、米政権がカナダとメキシコの輸入品に対して関税を発動し、中国には追加関税を引き上げた。関税強化による貿易戦争や世界経済への悪影響を懸念した売りが広がった。NYダウ平均は一時840ドル超下落する場面もあった。ハイテク株比率が高いナスダックでは、中国での電気自動車販売が落ち込んだと伝わったテスラが4%超下落した。
 
5日(水)は、米政府が対カナダ・メキシコ関税をめぐり自動車への適用を1ヶ月免除すると発表したことを受けて、貿易摩擦の激化への懸念がやや後退した。主力株に買戻しが集まった。NYダウ平均は一時610ドル超上昇した。またハイテク株比率が高いナスダックは前日に大幅に下落した電気自動車のテスラが買い戻された。
 
6日(木)は、トランプ米大統領がカナダ・メキシコへの関税について米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に適合した輸入品の関税は4月2日まで免除することを決定したが、関税を巡る状況が二転三転しており、予測不能性が大きな懸念となっている事から軟調な推移となった。半導体関連株が軒並み下落したことも相場の重しとなった。
 

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